気持ちだけでも"おバカで元気"に!『MM9』(全3冊)山本弘 周回遅れの文庫Rock

なにかといえば自粛自粛の連呼と

医療崩壊トリアージがタッグを組んでの脅し文句が飛び交うなか

どこに行くにも、何をするにも

.肩身が狭くなってきた、今日この頃。

せめて気持ちぐらいは、明るくおバカに楽しみたい。

そんな現実逃避にうってつけの傑作シリーズが、こちら。

『MM9』『MM9-invasion-』『MM9-destruction-』の三部作だ。

 

とにかく、タイトルの「MM」からして何の略かという
「モンスター・マグニチュード」。

怪獣による被害を地震にたとえ

.その大きさや凶暴さによって"ランク付け"したもの。

地震、台風などと同じく自然災害の一種とみなした"怪獣災害"が

年に何度も襲い掛かってくる、という設定。

で、それに対処する専門組織が、"特異生物対策部"、略して"気特対"。

――ここまで来れば〈好きな方〉は、もう感づいたと思うが

早い話、ウルトラマン怪獣大戦争を彷彿とされる

「本格SF+怪獣小説」なのだ。

ある程度以上の年代であれば(.男性ならなおさら)

大怪獣の出現と、文明の象徴とも言える巨大建造物が破壊されるさまに

小さな胸を躍らせた経験があるはず。

そんな、科学を無視した(巨大怪獣はそもそも自重で歩けない)設定を

宇宙物理学の最新?仮説「人間原理」を使って

さらなる〈大風呂敷〉へとアクロバティックに展開。

全長50メートルの巨大怪獣を、思う存分暴れ回らせたり

実の丈20メートルの巨大少女(全裸!)を全力疾走させたりと

文字通り、やりたい放題のウルトラバトルに引きずり込んでしまうのだ。

 

さらに続編では、巨大少女(女神?)とテレパシーで心を通わせる少年が登場。

宇宙から飛来した精神生命体が、その間に割り込み?

三人?力を合わせて、新たな敵(怪獣たち)を次々と撃退。

あまつさえ、時空を超えたラブロマンスまでやらかしてしまう・・

などなど、誰もが心に秘めている〈少年少女の魂〉に火をつける

熱血と感動の神話&怪獣ストーリーが

これでもか!とばかりに繰り広げられるのである。

 

ばっかばかしー!

くっだらなーい!

と、本書を前にせせら笑うのも、個人の自由だ。

だけど、このくらいぶっとんだ夢のある物語を楽しめないようじゃ

まだまだ(なにが?)だぜ。

 

ぜひとも、騙されたつもりで

普段身にまとっている常識やしがらみをポイッと振り捨て

次々現れる怪獣&神様?どもを

.心のなかで、思う存分活躍させていただきたい。

きっと、一番深いところで眠っている〈少年少女〉は

大喜びしてくれるはずだ。

 

ではでは、またね。