多数決から「ホンモノ」は生まれない 本日の"なんだかなぁ"

年末年始に撮り溜めたスポーツ中継番組も、ようやくひと段落。

これまた集中していた話題の映画は後回しにして

今月スタートしたアニメ番組のチェックを、始めたところだ。

ここ数年やたらと本数が増えたゆえ

初回放送分に限っても、いまだ4分のⅠ程度しか鑑賞できていないが

なんだよ、《劣化コピー作品》ばっかじゃん。

――というのが、正直な感想だ。

 

 

相変わらず幅を利かせる「異世界もの」は言うまでもなく

種目だけ入れ替えたとしか思えない「スポーツもの」

各クールごとに増殖し続ける「バンド」「アイドル」「ステージ」ネタ

いよいよ鉄板化した「美少年(for腐女子)」ジャンル

これまたお約束の「美少女(変身)バトル」まで。

いずれもひとつふたつ、〈設定〉などに変化を加えてはいるものの

肝心の中味に関しては、配役・構造・ストーリー展開のすべてにおいて

以前人気を博した《元祖》のパターンをほぼ"丸なぞり"しただけの

いわゆる《劣化コピー作品》に過ぎないシロモノばかりという

残念な状況が、いっそう激化していることが確認された、

 

こうした《劣化コピー作品》パンデミックの根底にあるのは

言うまでもなく、「大衆受け」と「利益」を不動の目標に挙げる

スポンサー(視聴率と販売促進を目論む局プロデューサー&代理店)の

身も蓋もない〈商売第一主義〉である。

また柳の下のドジョウか・・と、文句を言われようが

実際にブームを起こし儲けを獲得した作品(ジャンル)のベースをまるっとパクリ

少し設定やキャラをいじっただけで再利用するのは

極めてラクチン&はずれが少ない方法だからね。

 

かくして、偉い大人たちが多数決を武器に押し通す、理屈と計算に圧し潰され

ひとりのクリエーターが生み出した、"独創的だったはずの作品"たちは

〈ドキドキのトゲ〉と〈ワクワクの輝き〉を、ことごとく排除され

劣化コピー》の鋳型に流し込まれては

私たちに何の刺激も与えることなく、使い捨てられていく。

 

もちろん、原作が放つドキドキとワクワクを、そっくりそのまま

いや、それどころか、さらにバーストアップさせたような

キレッキレのアニメたちだって、ラインナップに名乗り出てくれている。

とはいえ、あくまでそれは、少数派に過ぎない。

おそらく7割を超える数の「作品」たちが

〔これなら売れる〕のパターンに無理矢理姿かたちを"整形"され

原作が放っていた刺激と輝きを、奪われてしまうのだ。

※実際の割合はいくらか低めだった。

 それでも半数前後は〈お約束の型〉に落とし込まれ、新鮮さを失っていた。

 

事実、そんな〔商売上手な人たち〕のおかげで、

「これは面白い!」と原作のマンガでは感動した作品が

アニメ版を見た瞬間――なんだよ、これ!

と、思わず天を仰いだことが、いったい何回あったことだろうか。

 

もちろん、コミケ同人活動など

オリジナルを我流にアレンジすることで(当然、エロ方面もアリ)

自分の好きな世界をどんどん広げていきたいという気持ちも充分に理解できる。

しかし、それは本来、個人的(同人的)スケールで楽しめば充分なのではないか。

少なくとも、全国ネットのテレビ番組に

《原作をつまらなくしてでも金儲けを優先する劣化コピー》を垂れ流し

多少の利益を手にして「計算通り!」と悦に入る〈頭のいい大人〉たちが

カッコいいとは、とうてい思えないのだ。

 

書いてるうちに、冒頭のタイトルから離れてしまったので

最後に、やや強引なひとことを。

 

この国では、何かというと「多数決がエライ」みたいに考えられているけど

少なくとも「創作」の世界において、それは真実から遥かに遠い。

ドキドキやワクワクのように、私たちの心をストレートに揺さぶる表現は

クリエイター個人のなかからしか、生まれ得ない。

たとえ熟練のプロが何人集まり、議論を繰り返したとしても

合議制による多数決から正真正銘の〈面白い!〉が誕生することは

決してない、と信じている。

ナウシカ」「攻殻」「エヴァ」「きみの名は」・・

クリエイター個人のエゴからではなく

多数決によって世に出た〔真の名作〕があったら、ぜひ教えていただきたい。

 

あ、そうだ。

そもそもこんな文句を垂れるきっかけになった「番組」に触れることを

きれいさっぱり忘れていた。

不平不満ついでに、こちらの話題もやっちまおう。

こちとらの怒りにを火をつけたのは

ここ数年、大晦日の夜に放送されている

Fate Project 大晦日TVスペシャル』だった。

年々、新作映像の紹介部分が減少しつつあったのだが

とりわけ今回は、拍車がかかっていた。

ディテールを語っても興味のない人には伝わらないと思うので

ひとことで済ますことにするが、要するに

――なにこれ? テレショップじゃん!? ってこと。

 

どこを見ても、TYPE-NOONが作った《自家製劣化コピー作品》の宣伝ばっかし。

この路線の無限増殖を続けていくだけで、効率よく儲かるのはわかるけどさ。

正直、Fate路線は「ZORO」あたりで打ち止めにしてほしかった。

なにより、自家製コピーに追われている限り

本当の意味での《新作》に出逢えないのが、なによりもツラいのだ。

パソコンゲーム時代の「月姫」「Fate2部作」「魔法使いの夜

のトリプルアタックに心を奪われて以来

次の新作はいつか??? 首を長くして待ち続けているというのに

出てくるのは、どれもチョコチョコッと原作シチュエーションをいじくった

《アレンジ作品》ばかり。

こんな金稼ぎに忙殺されるうちに、製作者の貴重な時間が失われてしまうのは

あまりにも哀しいことだと思うのだが。

幸い? ようやく「月姫」のリメイクが登場するとのこと。

そこに期待するしかないのが、消費者にできる精一杯。

でも望むべきは、堂々と《第4ステージ》を宣言できる完全新作シリーズを!

せめて、ボリューム的に食い足りなかった「魔法使いの夜」の続編を!

切に切に、待望するのであった。

なんとか頼むよ、那須&武内のご両人!!

 

ではでは、またね。