丘に登れば"絶景"が見える カッパドキア&イスタンブールの旅 2019.11.28-12.5 2日目(後編) Ara-kanふたり旅

2019年11月29日(金)

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私的カッパドキアいちの絶景、アイドゥン・クラウの丘。

この旅3本目の記事なのに

まだ実質初日の「おやつどき」でウロウロしている。

海外に出るたび、強く実感することだが

ちょうど人生における子供時代と同様

旅先での時間経過は、最初の頃がやたら長く思えるのだ。

それだけ新鮮な刺激だらけ、ってことだね。

んで、旅の後半になればなるほど、

これまた人生と同じく、時間の進むペースが早くなっていく。

なので、たぶんこの記録も

日を追うごとに、あっさり風味へと変わっていくはず。

いましばし、ガキみたいなハシャギぶりに付き合ってほしい。

 

てなわけで、カッパドキア地方の中心都市・ネヴシェヒルの午後3時すぎ。

なにかの記念日なのだろうか

たくさんの旗がひるがえる繁華街をぶらぶら歩きながら

「歩き方」とスマホのオフラインマップを頼りに

ギョレメに戻るバスの停留所を探す。

と。。あったあった。

いかにも停留所っぽい何本かのポールと、明らかに何かを待つ人々の姿が。

だが、近くに寄って目を凝らしても

日本のバス停のように、時刻表どころか行き先も明示されていない。

「ほんとにここ、ギョレメに行くバス停なのかな?」

もし、まんいち見当違いな方面に行くバスに乗ってしまったら・・・

見知らぬ異国で、不安が湧き上がってくる。

こうなりゃ、利用客に聞くのが一番。

やはりバスを待っているらしき女性に、「ギョレメ?」と、目的地名を投げてみた。

突然声を掛けられたにも関わらず、彼女はにっこり笑って頷くと

さらに隣にいた男性に向かって、なにやら話しかけた。

すると今度は、その男性が寄って来て「ギョレメ? ヒア!」みたいなことを

言いながら、一本のポールの前まで案内してくれた。

(翻訳アプリのことは、すっかり忘れてた)

おまけに、その後も立ち去らずに

数分ごとにやってくるバスを一台ずつチェックし始めたのだ。

え? なんでこんなに親切にしてくれるんだ?

案内料でもせしめるつもりなのか?

なんて、旅行者特有の猜疑心が湧き上がってきたが

いざギョレメ行きのバスが到着。

自分は乗らずに「ほら、これに乗りなさい」と、身振り手振りで伝え

最後に、にかっと笑って見送ってくれる姿を前に

・・ああ、ホントに親切心からだけで、ここまでやってくれるんだ。

と、あれこれ勘ぐっていた自分が恥ずかしくなった。

 

旅行に出る前、トルコについて書かれた何冊かの本に目を通していたが

そのほとんどに「トルコ人は日本人が好きでとても親切」とあった。

でも、まさかこんな、自分の用事を差し置いてまで助けてくれるとは思わなかった。

実際のところ、トルコを旅したあいだじゅう

この国の人々の過剰ともいえる親切さに、何度となく直面することになる。

ただ、だからといって100%信じてしまうのも、問題だという。

表向きは「親切」の顔をして騙してくる〈ワルい奴〉もまた、確実にいるのだから。

信用し過ぎても、疑い過ぎても、旅を充分に楽しめなくなってしまう。

このあたりのさじ加減、何度やっても難しい。

 

ともあれ16時ごろ、無事バスはギョレメのターミナルに到着。

ここで、手近にあったツアー会社に飛び込んだ。

明日1日は、公共交通機関を使って自力で回れる範囲を観光。

しかし次の日は、夜の飛行機でイスタンブールに向かう予定だったので

路線バスでは行きにくい観光スポットを効率よく巡り

夕方までには確実に戻ってこれる「現地ツアー」に参加することにしたのだ。

――まさかこれが《痛恨の1日》になってしまうとは、夢にも思わずに。

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このツアー会社は親切で良かったんだけど・・同行者がちょっと、ね。

さて、2日後のツアー予約を終えたところで、時刻は16時すぎ。

まだまだ陽射しは高く、日没まで一時間以上ありそうだった。

前日からほとんど寝てないので、ホテルに戻って休みたい気もしたが

せっかくカッパドキアに来たというのに

土地のシンボルともいえる「奇岩」を、ちゃんと見ていなかった。

ならば、今から行ける範囲でチャレンジしてみよう!

「歩き方」欄外に書いてあった近くの丘(アイドゥン・クラウの丘)なら

歩いて行けそうだったので、さほど期待せず、時間つぶしのつもりで向かった。

 

スマホのマップを頼りに、くねくね曲がる道を登ることしばし。

丘に続く入口の脇に、小屋が立っていた。

中に若い男の人がいて、そこで入場料を払うらしい。

たいした金額ではなかったので、財布を取り出したのだが

たまたま小銭が少なく、2人分には届かない。

ならばと、お札を出すと、男性は両手を広げ、首を振る。

今度は、お釣りがないようだった。

「仕方ないなぁ・・ホテルに戻る?」

ちょっと後ろ髪を引かれながら、相方と話していると

ふいに男性が、「フェア・アーユー・カム・フロム?」と声をかけてきた。

この程度の英会話なら、大丈夫。

「ジャパン」と、答えると

ずっと無表情だった男性の顔に、いきなり大きな笑みが浮かび

「オー、ジャパーン!! OKOK!!」

そう言って、一人分少々の小銭を受け取り、

どうぞ! と、丘への道を指し示してくれたのだ。

 

なんだこの、〈日本大好きっこ〉は!?

確かに、日露戦争でロシアを破ったことに端を発するトルコの親日ぶりは聞いていたが

まさかここまで好意を持たれていようとは・・

冗談みたいな厚遇ぶりに驚きながらも、これ幸いと、丘への道をスタコラサッサ。

そして・・なだらかな坂を登りつめると

見えてきたのは、馬の背中よりふたまわりほど幅広い尾根のピーク。

カフェ兼お土産屋が一軒あるだけの、静かな丘だった。

しかし、その丘から遥か彼方にまで広がる光景は――これぞカッパドキア!!

ちょうど夕暮れに染まろうとする空の色と、赤く燃える奇岩の連なりが。

どこまでも、どこまでも続いている。

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360度、こんな雰囲気

他にも観光客の姿はあったが、ちらほらのレベル。

かましくなく、でも、淋しくもない。

えらくワガママな言い方だが、ちょうどいい込み具合だ。

できれば、ずっとここにいたい気分。

しかし、日が暮れるにつれ、風は冷たさを増していく。

デイバッグに入れたダウンベストを取り出し、重ね着するが、まだ足りない。

それでも、多少寒かろうがなんだろうが、ここで立ち去るのはもったいなさすぎる。

夕暮れ前から日没どき、そしてギョレメの家々に明かりが灯るころまで。

カフェの有料トイレに駆け込みながら、1時間余り丘の上で眺め続けたのだった。

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街と荒野の両方が見渡せる

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素朴な明かりが、心にあたたかい

結局、まる3日近くギョレメ(カッパドキア)に滞在していたが

ここ「アイドゥン・クラウの丘」を越える絶景には出会うことがなかった。

ガイドブックに載っている、他の有名な「絶景ポイント」だって

景観だけに限れば負けていない・・ような気がするが

なにより、『団体旅行のための観光地』。

それ以上でも、以下でもなかった。

少なくともAra-kanふたりは、大音量で音楽を流していたり

幾つもの団体が押し合いへし合いしていたり

大声を上げてはしゃいだり記念写真を撮り合っている「絶景ポイント」に

な―んの魅力も感じなかなったってこと。

でもさ、やっぱ絶景って

行列を作ったり、人混みをかき分けて鑑賞するもんじゃないと思うんだよね。

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夜のギョレメもいい感じ

はい。難癖つけるのは、このくらいにして。

とにかくワシらは、入場料をまけてもらった「アイドゥン・クラウの丘」が

カッパドキアでいちばん素晴らしい景色を堪能させていただいた。

ゲート小屋のお兄ちゃん、本当にありがとう!!

 

すっかり夜のとばりが降りた坂道を下り

この日の夕食は「歩き方」に載っていた洞窟レストランTopdeck Restaurantへ。

地元の人で賑わっており、味付けも観光客向けでなく、ややクセのある本格派。

カルシュック・メゼ(前菜の盛り合わせ)、タウック・シン(チキンのケバブ)。

そしてトルコの酒ラキなどを注文する。

どれも口に合い、おいしかった(パンも無料で美味)が

一皿ごとの量が多く、食べきれなかった。

あとは、ほろ酔い気分で、夜のギョレメを散策。

大きな洞窟ホテルがいたるところにあり、いずれも中世の宮殿のよう。

とはいえ、明かりの色はほぼ赤(橙色)で統一されており

シンプルで素朴なライトアップは、目にも優しく、とてもいい雰囲気だった。

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ハッと気が付き、最後のチャイだけ撮影

ホテルに戻り、すぐにバタンキュー・・かと思いきや。

旅の興奮のせいだろう、ベッドに横になってもなかなか寝付けず。

持ってきたミニ読書灯で小説を読みながら

昼間ネヴシェヒルで買った、あのナッツをポリポリ。

ん~~~っ、たまらん!

 

ではでは、またね。