少なくとも、「スタートレック」ファンにはイチオシの作品だ。
「スターウォーズ」とか「エイリアン」を楽しんだ人も、面白がってくれるかも。
とはいえ・・結局は単なる〈パロディ〉でしかないよなぁ。
それも、”悪ふざけの一歩手前”ってヤツでさ。
――ずっと、そう思いながら読んでいた。
あらすじ自体は、とてもシンプルだ。
スタートレックシリーズなどをご覧になった方であれば
「ああ、あれね」と分かってくれるだろう。
ストーリーのスリルを高め、観客(読者)をドキドキさせるために
登場したと思ったら、あっという間に殺されてしまう
名もなき〔切られ役〕たちを主人公に据えた物語である。
昔からアニメでも、よく見る場面。
戦闘が始まる直前にひょっこりと顔を出し
「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」的な言葉だけを残して
まっさきに死んでしまう、あれだ。
本書では、そんな〈永遠の三下〉連中が
〔なぜ主役級の面々が決まってギリギリのピンチから生還し
その代役とばかりに、自分らペーペーが犠牲になってしまうのか〕
との疑問に駆られ、そもそもの原因を徹底追求。
ある意味、「自らが属する物語世界」を飛び出すことによって
己に課せられた〈必死の運命〉から脱出しようと奮闘する。
しかし、そのカラクリたるや・・
「なんだよ、それ!?」
と呆れ果て、人によっては途中で本を閉じたくなるようなシロモノなのだ。
実際のところ、450ページを超える本書を読み始め
残る厚みが5ミリ未満となった370~80ページあたりまでは
当方も、あやうく途中リタイア組になるところだった。
でも、どうかそこを、ぐっとこらえてほしい。
多少斜め読みになっても構わないから
せめて、終章のⅡまではページをめくっていただきたい。
そうすれば、少なくともSFが好きな人であれば
「なるほど、そうきたか!」と
心の中で手を打ってしまうに違いないのだから。
ホンッと、ラストまで読み通して、良かった。
まさか、こんなにも見事なゴールを決めてくれるとは!
さすがはスコルジー。
そして、ヒューゴー&ローカス受賞作。
一作目を読んだまま積読(ツンドク)状態になっていた
「老人と宇宙」シリーズを読み返すのが、いまから楽しみだ。
ではでは、またね。