「騙されちゃった」なんて笑ってたら、大変な目に遭うぜ 『ニセ科学を10倍楽しむ本』山本弘 周回遅れの文庫Rock

ずいぶん以前から

世の中は「嘘っぱち」ばかりだとは思っていたが

ここまでデタラメのオンパレードだったとは!

まさに、呆れた口が塞がらない。

いっぽうで、これほど根拠のないでっち上げに

コロリと騙されてしまう我々大衆の愚かさ加減にも

驚きを通り越して、笑わずにはいられない。

 

本書に取り上げられている「ニセ科学」は

水は字が読める。

ゲームをやり過ぎると「ゲーム脳」になる。

有害食品 買ってはいけない

血液型で性格が分かる。

動物や雲が地震を予知する。

など、誰もが一度は見た(聞いた)ことのある「仮説」だが

実際はそのすべてが、科学的根拠ゼロの『デタラメ』だと断じている。

 

かくいう私も、ひとつふたつは「可能性は否定できないかも」

と思っていたので、偉そうなことはいえない。

特に、血液型性格判断については

大学の大好きだった先生が「信者」だったことも手伝い

かなり長い間、ほとんど完璧に信じていた。

その後、日本以外の国で「血液型性格判断」はまったく無視されていること。

過去アメリカなどで数万人を対象にした大規模な調査が行なわれたが

血液型による性格の偏りは、なにひとつ検出されなかったこと。

などの事実を知るにつれ、疑いの目で接するようになったが

ここまで徹底的に「能見正比古の創作だった」ことを実証されたら

もはや、ぐうの音も出ない。

つくづく、人間って騙されやすい生き物なんだなぁ。

 

でもって、改めて思い返してみると・・

マイナスイオン」「ゲルマニウムブレスレット」は身体に良い。

「F分の1ゆらぎ」「フィトンチッド(森林浴効果)」にはリラックス効果あり。

「ブルーベリー」は視力をアップさせる。

「プロポリス」はガンに効く。

次から次へと、出てくる出てくる。

これぜんぶ、『効果なし』と実証されている。

もちろん、表れては消える「✖✖だけダイエット法」も例外じゃない。

ちょっと冷静になって考えれば、すぐデタラメだってわかるはずなのに

 

ほんとうに、驚くほど「人は、自分の信じたいことしか信じない」

哀しい存在なのだ(だからこそ素敵だと言えなくもないが)。

 

そもそも、世間で話題になる健康情報の大部分は

実際にはなにひとつ科学的に立証されていない「仮説」に過ぎない。

恐ろしいことに、何ひとつ実績のないマイナーな学者だろうと

〇〇博士、△△医師といったそれらしい肩書さえあれば

勝手に「✖✖は健康にいい(と思う)!」という《仮説》を発表。

これ幸いと、✖✖を扱う業者が乗っかって

〈いまだ科学的に否定されてないこと〉をタテに

「✖✖は健康にいい!」キャンペーンを大々的に繰り広げる。

(実際には業者側からセンセイに働きかけるケースが少なくないんだろうな。

 で、なにか問題が起きたら全責任は言い出しっぺの〇〇博士に負わせて逃げる)

それが、日本で長年繰り返されてきた《健康ブームの作り方》なのだ。

 

幸い?科学的に説得力のある検証(研究)には、数年単位の時間が必要とされる。

その間に✖✖業者は、稼げるだけ稼ぐという仕組み。

しかも予想以上に「商売」が成功した場合は

その健康効果が科学的に否定された後も

〈明らかに誤りだと判明した部分だけ)削除。

代わりに「推定」「感想」「個人的意見」を巧妙に組み込むことで

可能な限り従来通りの商売を継続させようと画策する。

そんなふうに、巧妙に論点をボカした健康効果を謳う業者さんの数は

両手両足の指を使っても足りないくらいだ。

 

でもまー、これはまだ損得レベルのプラスマイナスで済むけど

厄介なのは、ニセ科学が「政治」や「宗教」と結びついちゃった場合。

そう、いまアメリカでドンパチやってる大統領選挙。

天下御免のウソツキ男トランプ大統領が、この「ニセ科学」を徹底的に利用している。

Qアノンをはじめとする「でっちあげ陰謀論」の尻馬に乗って

自分に敵対する者に、ことごとく『悪の組織・悪魔の手先』と攻撃。

そんな小学生レベルの作り話を、アメリカ人の実に40%以上を占める

「世界は今から一万年ほど前、神様がいっぺんに創り出した」と

信じて疑わない聖書原理主義者(ファンダメンタリスト)が

これまた100%受け入れ、熱狂的にトランプを支持しているのだ。

※本書でも393~4ページで、きっちり説明している。

 

とても21世紀の出来事とは思えないが

年越しが確実になってきたコロナ・パンデミック同様

これまた、否定しようのない《現実》なのだ。

まったくもう、とんでもない時代に生きてるよな~。

 

ではでは、またね