ベルギー&フランス旅行 2017.5.29~6.5 1日目 成田⇒ブリュッセル Ara-kanふたり旅

2017年5月29日(月)

 

人生初の海外旅行(中国)以来

およそ30年ぶりに〈ツアーへの申し込み〉ではなく

自力で航空券購入とホテル予約をでやってみた

ある意味、記念碑的な旅。

この方式に切り替えたおかげで

以後の自由度(特に旅先の選択肢)が格段に広がったのだ。

 

とはいえ、インターネット時代に入って初めての「航空券」購入。

できるだけ煩雑さを避け、往復ともに乗り換えなしの直行便を選択した。

まず、行きは成田⇒ブリュッセル

帰りは、パリ⇒成田というオープンジョーを確保。

ブリュッセルからパリまでの移動は、自力で行なうことに。

通常の「フリーツアー」の場合

こうした2国を巡る旅は、まずチョイスできない。

航空会社は、久々のANA

ここでも、何かあれば日本語で対応できる安心感を優先した。

 

てなわけで、まずは日本脱出。

成田発がお昼近い時間帯だったこともあり

ここは最安の田園都市線半蔵門線⇒京成線ルートだ。

ところが、朝7時半頃には下り電車(成田空港)行きに乗るので

楽々座っていけるだろうと思ったのが、甘かった。

予想外に乗客が多く、乗り換え駅の青砥から立ち続けること30分あまり。

近郊の学校に通う生徒たちと、成田空港に務める人々の

通学&通勤時間帯にぶつかってしまったのだ。

――この時の体験に懲りて、以後は、あまり無理せず

たまプラからのリムジンバスを利用する機会が増えていった。

 

長々しいアプローチの苦労話はともかく。

出発2時間前には、成田空港に到着。

チェックイン、ユーロへの両替など、既定の手続きを済ませ機内へ。

海外の航空会社には慣れていたつもりだったが

やっぱり日本語ですんなり意思が通じると、安心感が違う。

機内食にも充分満足し、気がつけばブリュッセル空港に降り立っていた。

時刻は15時50分。強い陽射しがさんさんと降り注いでいた。

 

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翼よ あれが、ブリュッセルだ!?

入国審査もスムーズに済ませ

ブリュッセル市内にある本日の宿を目指すことに。

「歩き方」では鉄道が推薦されていたが

調べてみるとバスを利用した方が歩かずに済みそうだったので

ひとつ下の階にあるバスステーションに向かった。

と、バス停らしきエリアが見えた途端

眼の前に、機関銃を抱えた黒づくめの男たちの姿が。

いやに物々しいと思ったら――当たり前だ!

前年の3月22日、ここブリュッセル空港を含めた連続テロ事件が発生。

合わせて35人もの命が失われていたのだから。

ふと見ると、ニュース映像で流れていた空港入口付近のスロープが。

・・頭では分かっていたつもりだったが、肉眼で見ると臨場感がまったく違う。

人知れず、黙とうを捧げてしまった。

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バス停の案内板 分かりやすそうだが、意外に難しい

さて、気を取り直し、バスだ。

検索で得た情報をもとに

市内中心部行きのPlatformAから出る272番バスに乗り込む。

乗車時に3ユーロ払うだけ。

この格安料金につられて選んだ移動手段でもあった。

バスは、まるで街ごと公園のような、ひたすら清潔で整った風景の中を走り

ほぼ40分後、北駅の南に面した停留所で下車することができた。

 

――なんて書くと、終始スムーズだったように思うかも知れないが

実際は、それぞれのポイントで迷って悩んでアワアワしては

周りの人に教えてもらって、かろうじてクリアできたことばかりだった。

そう。この国では、困った様子の旅人を見ると

向うから進んで「なにか手伝えることはある?」と話しかけてくるのだ。

ターミナルでなかなかな来ないバスを待っていたときも

バスの中で降りるべき停留所が分からず冷や汗をかいたときも

まるで近所の顔見知りみたいに、なんだ?どうした?聞いてくれ?

という感じで、ごく自然にサポート体制を取ってくれる。

ベルギー国内を旅しているあいだ

この国を挙げてのポスピタリティには、感動しっぱなしだった。

 

そういえば、ちょっと前に

「日本人の民度は高い」とコロナ対策を自慢していた閣僚がいたが

《本当の民度の高さ》って、こういうところに現れるんじゃないだろうか。

・・と言いつつ、コロナ騒動でEU最高の死亡率を記録していた国は

確かベルギーだったような・・・

民度と対コロナ効果を並べること自体、意味ない気もするなあ。

 

ま、ともあれ、無事下車したバス停から歩くこと数分。

この日を含めて2泊する、Sieep Well Youth Hostelに無事たどりつく。

その名の通り、格安ドミトリーもあるユースホステルだが、

ホテル並みの個室も利用できたので、そちら(ツインルーム)を予約した。

やはりフランスの北とあって、物価は日本以上。

それだけに、なるべく安い宿を!と探しまくった結果だった。

予想通り、受付を含めたロビーは開放的で、スタッフもすこぶる気さく。

壁一面に明るいイラストが描かれているなど、いかにも若い人向けの雰囲気だ。

むろん安いだけあり、部屋は狭く、2つのベッドがあるだけ。

でも、これで充分。

 

とにかく、ここまで来れば一安心。

ちよっとだけ横になって、リフレッシュした後。

19時前には、市街へと繰り出した。

旧市街に向かってトコトコ歩くうちに

気がつけば、周りの建物は絵本に出てくる「おとぎの国」のように。

ほんの5分も歩くと、

ヨーロッパで最も古いショッピングアーケードのひとつ

ギャルリー・サン・チュベール(1847年完成)を通り抜け

さらに、その先には「世界で最も美しい広場」と呼ばれるグラン・ブラスが。

サッカー場ほどの四角い広場の周囲を

絵本に出てくるそのまんまのギルドウハウス(建物)がぐるりと取り囲み

若い女性だったら、「キャー」と感動するに違いない世界遺産だ。

うーん、おっさんにはちょっとキンキラかな。

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ギャルリーはアンティーク?の宝庫

 

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グラン・ブラス 初日はピンとこなかったので数枚写真を撮っただけ

気がつけば、はや9時過ぎ。

とはいえ、まだまだ暮れそうにない青空を見上げながら

こぼれた言葉は――お腹、空いたね。

どちらともなく歩き出す。

ブリュッセルでの食事といえば、なにはなくともベルギービール

この旅最初の目的、ブラスリー(お酒が飲めるカフェ)を探して歩いた。

すると・・いかにも伝統がありそうな古びた店が多い。

ちょっと入りにくいかなぁ・。

初日だけに緊張しつつも、思い切って入ったのが

A La Mort Subite ガイドブックでもおなじみの有名店だ。

 

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店内の様子 ローアングルがビビリの証拠

落ち着いた店内と磨き込まれたテーブルが

おっかなびっくりのふたりを優しく迎えてくれた。

さっそく、ズラリと並んだビールメニューの中から

代表格のLAMBIC BLANCHEと DUVALを注文。

すぐに丸みを帯びた大きなグラスに、琥珀色の輝きがふたつ。

――――うまい!

 

日本のビールよりも、アルコール度数は高め。

なんでこんなにおいしいのか? 本当に驚かされた。

灼熱のハノイで脱水症状になりかけたときのビールも美味しかったが

あれは、あくまでも「冷たい飲み物」としてのうまさだ。

でも、ベルギービールは違う。

ぐびぐびと喉で味わうのではなく、ワイン感覚でチビチビ飲みたいタイプ。

また熱処理されてないから、酵母の甘い香りが口いっぱいに広がる。

 

あまりビールが好きではないはずの相方も

「ピールがすごくおいしいと思ったのは、初めてかも」

などと感動していたから、独りよがりではないことは保証できる。

実際、ベルギーを旅している間は、毎晩地ビールを探すことになった。 

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ベルギービールに魅せられた旅だった・・

つまみにと注文したサラダも、予想以上の味だった。

軽食かと思ったらパンもついてきたので

ひと皿をふたりで分けて、ちょうど適量になってくれた。

肉の味もしつこくなく、口に合う。

ベルギーグルメは、期待できそうだ。

 

そんなこんなで、ブリュッセルの夜にすっかり満足。

あとは、宿でぐっすり眠るだけ。

――だが、そうは問屋が卸さなかった。

 

日付が変わろうとする深夜。

隣の部屋のドアが、パタンパタン開閉する音衝撃が、伝わってきた。

続いて、小さく速い足音と、子供たちの笑い声が廊下に響く。

それも、何度も何度も。

 

おそらく修学旅行的な団体行事なのだろう。

個室に分かれて泊まった子供たちが、興奮で眠れず

互いの部屋を行き来しては、はしゃいでいるようだった。

 

うっさいな~~。

と思ったが、成田からの長距離移動でさすがに疲れていたのだろう

起き上がってドアを開ける気ちになる前に、眠りに落ちていた。

 

ではでは、またね。