ボローニャNo.1レストラン!? ジュネーヴ発ボローニャ着 鉄道自由旅行2018 5/29-6/5 6日目 ふたり旅60'

2018年 6月3日(日)

 

徐々に溜まってきた旅の疲れもなんのその

この日も7時過ぎには目覚め、テラス席でゆっくり朝食を味わう。

若者向けの宿だけに、品ぞろえはごくシンプルだが

スイスと違って、野菜とフルーツが充実しているのが嬉しい。

 

ちなみに私は、普段からあまり胃腸が丈夫ではなく

「水が変わる」海外のような旅先では

毎回のように腹痛や下痢、食欲不振などに悩まされていた。

ところが、どういうわけか、今回、おなかの調子は一度も悪くならなかった。

最初の夜は空港泊まり、その後も長時間のハイキングなど

近年まれに見るハードな旅に加え

食物繊維やビタミンなどおなかに良い栄養素も不足がちだったのに

いったい何が腹具合を管理に役立っていたのだろうか?

――そういえば、いつもの旅に比べ、夕食を簡単に済ませることが多かった。

そのあたりの〈粗食生活〉が、結果的に胃腸を元気にしてくれたのかも。

 

ともあれ、なかばリゾート感覚でのんびり朝食を味わい

部屋に戻って、ゆっくり身支度を済ませる。

そして8時半頃、ホテルを出発し、徒歩でボローニャの駅へと向かう。

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ホテルへの案内板

実は、イタリアでの宿泊地をミラノではなくボローニャに決めた理由は

この日の目的地にあった。

それは、モザイクの街・Ravenna。

以前からイタリアは大好きな国のひとつで、これまで5回ほど訪れているが

宿泊地はローマ、フィレンツェヴェネツィアナポリなど

毎回同じような大都市ばかり。

そのため、メインルートから外れたところにあるRavennaは

日帰り旅行には少々厳しい”気になる観光地”の代表格だったのだ。

 

Bologna09時06分リミニ行きの列車に乗り込み、Ravennaを目指す。

残念ながら各駅停車のため、全車両が2等車。

おりからの日曜日で、海に遊びに行くらしい地元の人たちに混じって

どこか昔の「18きっぷの旅」を連想させる、普段着の鉄道旅を楽しんだ。

 

1時間20分余りで、目的地のRavennaに到着。

イタリアでも指折りの世界遺産の街というだけあって

駅前には数多くの観光客の姿が

歩いて10分ほどのところに点在する「モザイク建造物」の駐車場にも

何台もの大型観光バスがずらりと停車。

すでに主な建物の前には、長い行列が伸びていた。

 

だが、この程度で諦める訳にはいかない。

入場券を扱っている店で、5つの建物を見学できる共通チケットを購入。

行列の最後尾につき、少しずつ前へ移動していく。

それにしても・・・暑い!

用意しておいた帽子を被るが、その厚い布地を貫いて

真夏のような強い陽射しが頭上からガンガン降り注いでくる。

立っているだけで、どんどん体力が奪われていくと実感できるキツさだった。

 

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建物の外観は シンプルで地味

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一歩中に入ると・・

とはいえ、待つこと20分。

ひとたび建物の中に入り、陽射しがさえぎられると

湿度が低い分、すぐに不快指数は低下。

暗がりに目が慣れるにつれ、繊細にして華麗なモザイク画の世界が

あっという間に、中世キリスト教の世界へと引き込んでいく。

ローマ時代のリアリティ溢れる彫像に比べると

素朴(つたない)印象を受ける聖人たちのモザイク画だが

おかげで信心深くない我々には、かえって身近な存在としての親しみを感じる。

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ザ・モザイク画

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とにかく、細かくて、綺麗

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でも・・正直、飽きてくる

・・と、絶賛したその口で悪いのだが

2件、3件と似たようなモザイク画を見続けると

いとも簡単に飽きてくるのも、また正直な感想ではあった。

フィレンツェウフィツィ美術館を回ったときも感じたことだが

宗教がらみの美術品には、どうもいまひとつ心が動かないのだ。

「神!」とか「奇跡!」とか連発されればされるほど

引いてしまうこの性分は、たぶん死ぬまで治らないのだろう。

幸か不幸か相方もまた、宗教的な感動とはあまり縁がないようで

さしたる感慨もなく、それぞれの世界遺産を眺めているように思えた。

 

ま、なんやかんや言っても、綺麗は綺麗。

やはり写真やテレビでは伝わらないものが、確かに現物には宿っていた。

そのことが実感できただけでも、大きな収穫だった。

個人的にいちばん気に入ったのは

博物館の2回の通路?の天井にあった、アヒル?のモザイク。

たまたまミュージアムショップで、その再現セットを見つけたので

いいじゃん!と思って、購入してしまった。

色とりどりの小さなパーツが数百個、透明なケースに入った

ジグソーパズルのようなその土産品は

2年以上たった今も、ケースに入ったまま、机の脇で出番を待っている。

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いちばん気に入った、アヒル?のモザイク

共通チケットを使い、立てつづけに3カ所を回ったところで

石畳に負けて足が悲鳴を上げ始めた。

時刻を確認すると、午後1時過ぎ。

おなかも空いたので、広場にテラス席を張り出させたピザテリアで

簡単に昼食を済まることに。

味は・・観光地だし、まあまあといったところか。

それよりも、食後のデザート代わりに食べたピスタチオのジェラート

濃厚な味わいで、強く記憶に残っている。

ま、ムチャクチャ暑かったしね。

 

その後も、強烈な日差しと闘いつつ、教会やお店に立ち寄り

Ravenna駅についた時には、暑さと疲労でヘトヘトに。

帰りの列車で休もう。

そう心に決めてホームに出ると、なんとそこも観光客でいっぱい。

おまけに、17時33分にリミニから折り返してきた列車は

海水浴からの帰り客で、ほぼ満席というありさま。

これで1時間半立ちっぱなしは、つらい・・!

なりふり構わず、乗車口に取りつき、車両の中へ。

辛うじてか離れた場所に2つの空席を確保し

相方とふたり、座ることができた。

 

乗客できゅうぎゅう詰めになった列車は、ほどなく出発。

灼熱のラヴェンナ観光を終えた我々もまた

レールの揺れに体を預け、うつらうつら時を過ごすだけだった。

 

18時54分、Bologna到着。

いまだ午後の早い時間にしか思えない青天の下

ホテルへと急いだ。

市内観光に繰り出す体力もなかったが

それより、ホテルでやらねばならない作業があった。

そう。明日Bolognaから出発する、帰りの飛行機の座席予約。

ジュネーヴで購入したプリペイドSIMカードは

スイス国内でしか使えなかったため

ホテル内のフリーWi-Fiを使ってウェブチェックインをする

必要があったのだ。

 

部屋に入るなりベッドに倒れ込む相方を横目に

スカンジナビア航空のウェブチェックインを試みると

ボローニャコペンハーゲンコペンハーゲン⇒成田便のいずれも

まだ3割程度の座席しか埋まっていなかった。

こうなると、ふたり揃っての「窓側スキー」だけに

ダメもとで窓側1席ずつを予約することに。

 

気になっていた座席の確保を済ませ、ほっと一安心。

そのまま1時間ほど、横になって休み

20時をいくらか過ぎたころ

ようやく夕暮れを迎えつつあったボローニャの旧市街へ繰り出した。

 

ボローニャ駅の中を突っ切って、反対側に広がる旧市街へ。

ガイドブックに載っていたレストランを探すが

移転したのか、休日だったのか、どこにも見当たらない。

すると、その途上・・

「あ!あそこ、開いてるんじゃない!?」

偶然にも、この時間(夜9時)でも営業中のスーパーマーケットを発見!

 

実は、ボローニャに到着して以来

いつものように手頃なお土産を確保しようと

スーパーマーケットの位置を確認しては訊ねていたのだが

なぜか、その日に限って閉まっていたり、閉店時間が早かったりと

何度も門前払いを食らい続け

――今回は、空港で探すしかないね。

と、なかば諦めかけていたのだ。

 

さっそくチョコレートを中心に、何種類かのお菓子を購入。

たまたまセール品だった銘柄など、一気にまとめ買いをすることに。

洒落たブランド商品にはとんと興味がなく

イタリア旅行のお土産は「スーパーのチョコ」が一番だと

固く信じているB級旅人なのであった。

 

さて、ラッキーなことにお土産をゲット。

こうなったら夕食も、〈当たり〉ますように。

そこで、ガイドブックを開くのをやめ

自分たちの直観だけで最終日のディナースポットを決めることにした。

多くの観光客が行き交うメインストリートを避け

一本、二本、脇に入った細い通りへ

ほどなく、暗い道路の先に、静かに賑わっている一軒のレストランを見つけた。

中を覗いてみると、広々とした店内には、見事なまでに地元の人々ばかり。

しかも、ちょっとオメカシした雰囲気のお年寄りの姿が目立つのだ。

日曜の夜だからだったのか、近所の住民が、家族ごとに夕食をとりに来た。

そんなアットホームな空気が、店一杯に溢れていた。

――よし、ここに入ってみよう。

 

結果は、予想をはるかに超えていた。

きしめんみたいなボローニャ・スパゲティ(料理名は違うものだった)

シーフードサラダ、デザートのフルーツ、そしてワイン。

どれも、口に入れると笑ってしまうような、感動的な美味だった。

店の人の対応も、素晴らしいの一言。

イタリア語どころか英語もろくに喋れず、メニューを広げ悩むふたりに

笑顔を絶やさず辛抱強く相談にのり

リクエストしたボローニャ・スパゲティの代わりを出してくれたり。

さらに、全部ぺろりと平らげ、会計をお願いしたところ

レシートと一緒にレモンチェッロ(レモン果汁を蒸留させたお酒)をサービス。

これで、ふたりおなか一杯食べて飲んで、43.5ユーロ。

5000円少々だというのだから

やっばり、イタリアは食事だけで〔元が取れる〕旅行先だ。

ちなみに店の名前は、RISTAURANTE PIZZERIA INCROCIO MONTRGRAPAA。

地元の人々が通う店なので

どうか大勢では押しかけないよう、お願いします。

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文句なし! 今回のレストランNO.1

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バイバイ、ボローニャ コロナが終わったらまた行くぞ!

ではでは、またね。