”野宿”から”楽園”へ ジュネーヴ発ボローニャ着 鉄道自由旅行 2018 5/29-6/5 2日目前半 ふたり旅60

f:id:utatane-do:20200730230445j:plain

ジュネーヴ空港 午前1時30分

2018年5月30日(水) 2日目前半 ジュネーヴ空港⇔市内うろうろ

 

予約した宿からは閉め出され

屋外で朝を待つよりはマシだろうと

空港へ戻ったとのは、すでに深夜の1時過ぎ。

到着ロビーに明かりこそついていたが

広い構内はほぼガラガラ。

おそらく似たような境遇の方々が10人ほど

ベンチや床で休んでいるだけだった。

 

「そんじゃまあ、どっか横になれるところを探そうか」

と、まずはソファーっぽいべンチを物色するが

構内にある3人掛けの椅子席はみな1人分ずつお尻の形にへこんでいるため

横たわっても凸凹がキツく、とても眠れるようなシロモノではない。

やむなく、周囲から視覚になる窓際の床に衣類などを敷き

デイバックを枕にして、仮眠をとることにした。

「朝食の時間になればホテルに入れるはずだから

 それまで、少しでも体を休めておこう」という思惑だった。

 

眠れなくてもいい、と開き直ったせいか

2時間ほどうつらうつらしていたようだった。

ふと気がつくと、朝の5時過ぎ。

「あなた、イビキかいてたわよ」と相方に言われてしまう。

 

これ以上眠れそうになかったので

辺りが明るくなってきた6時少し前に

「ちょっと早いけど、街に行こうか」と荷物を片づけ

また電車を使うのも面白くなかったので

建物に隣接するバスターミナルへ向かうことに。

中央駅に行くバスはすぐ見つかり、乗車口近くに券売機もあった。

だが、券売機に入れるコインの持ち合わせがなく、困っていると

同じバスに乗る女性客が、クレジットカードでの支払い法を教えてくれた。

車内にいたドライバーもわざわざ運転席から降りて見てみれたので

無事、カードで購入することができた。

こんな朝早いっていうのに、みんな親切だ。

どん底に落ちていたジュネーヴのイメージが、一気にアップする。

 

6時過ぎ、バスは女性客と私たちふたりだけを乗せ、ゆっくり走り出した。

どうやら直通ではないらしく、郊外の住宅地にあちこち寄りながら、

都心部へと向かっていく。

まだ明けやらぬ市街を、数人ずつ乗ってくる乗客を拾って、バスは走る。

結局、30分以上走ったところで運転手に声を掛けられ

中央駅近くの停留場で下車することができた。

 

時計を見ると、6時30分を過ぎたあたり。

この時間なら入れるかも・・そのままホテルを目指す。

すると、見慣れたホテルのシルエットが見えてきたそのとき。

ちょうど、中に入ろうとする女性の姿が!

あわてて駆け寄り、ホテルのバウチャー(予約券)を見せると

泊まり損ねたことがわかったのだろう

ハイハイと頷くと、ホテルの中に入れてもらえた。

すると扉を入ったすぐ脇に、受付カウンター。

その背後の壁に2列に並ぶ鍵かけに、ひと組のキーがぶら下がっていた。

見ると、名札がついていて「Mr.×××」という文字が。

・・いちおう事情は伝わってたんだ。

  ひょっとしてホテルに電話していたら、入れてもらえたのかもしれないな。

たぶん似たような境遇の泊り客が、何人もいるんだろうな。

 

ともあれ鍵を受け取り、ほぼ7時間遅れで部屋に入る。

ダブルベッドが一台あるきりの小さな個室だが

「野宿」をしてきた身としては、柔らかな寝床で体を伸ばせるのは、幸せだ。

ふたりともベッドに倒れ込み、ほっと一息。

このままチェックアウトの11時まで休んでもいいが

せっかく料金に含まれてるのだからと、朝食を摂ることに。

7時を待って一階に降りると、コーヒーのいい香りが漂っていた。

受付カウンターの前にある小さなロビーが

朝食用のカフェスペースにしつらえられている。

「ハロー」の挨拶に笑顔で応えてくれたのは、さっき扉を開けてくれた女性。

朝食を作るために、毎朝やって来るのだろう。

パンと飲み物だけの簡単な朝食だったが、お腹が落ち着いた。

すぐ2階?の自室に戻り、今度こそ仮眠をとることに。

 

ふたたび目が覚めたのは、10時前。

短時間でもしっかり眠れたので、重かった体もかなり楽になっていた。

さっそく荷物を整理し、チェックアウト。

小太りな男性コンシェルジュの「残念でしたね」という顔に

苦笑いで応え、「トランスポート・カード」を受け取る。

「トランスポート・カード」は

ジュネーヴ市内の公共交通機関が2日間乗り放題という優れモノ。

ジュネーヴのホテルに宿泊すると、このカードがもらえるのだ。

予定通り昨夜のうちに宿泊できていれば、もっと有効に活用でたたのだが

今回は、空港までの列車にしか使えそうになかった。残念。

 

さて、最優先の予定は、12時に空港。

行方不明になった2つのスーツケースの消息を確認すること。

しかし、それまでに済ませておきたい幼児があった。

まずは、プリペイドSIMカードのゲット。

ラッキーなことに、ホテルから駅に向かう途中に代理店「Solt」の店舗を発見。

5日間のインターネット使い放題のコースを申し込むことができた。

ちなみに料金は10スイスフラン。1000円ちょっとだから安いものだ。

つづいてコルナヴァン駅に出向き

この日から使用するユーレイルパスにアクティベーションしてもらうことに。

今回使用するパスは「フレキシータイプ」と呼ばれ

一定期間内の好きな日にちを選んで(のべ5日)使用できるタイプ。

ただし、利用する前に鉄道駅で利用開始手続き(アクティベーション)を

行なう必要があるのだ。

事前に検索して調べた「ユーレイルパスの使い方」に書いてあった通り

駅の発券窓口にふたりのパスポートとパスを提示し

アクティベーション、プリーズ」と言ったら、スタンプをポン。

これだけで、準備完了だった。

あとは、利用日の欄に乗車する日付を記入すればOK。

どうなることかと緊張していたが、極めてスムーズに終わってしまった。

 

この時点で、時刻はまだ10時30分。

すぐ空港に行き、12時まで待つのはもったいないので

ジュネーブ市内をぶらつくことに。

1時間弱の散策だったけど、とにかく綺麗で上品な街という印象。

やや標高が高いせいか、乾燥した空気と強い陽射しで、思ったよりも・・暑い。

街の裏に湖があり、中央の島から巨大な噴水がドドドと出ているのが印象的だった。

f:id:utatane-do:20200730230556j:plain

ジュネーヴの名所? 大噴水

その後、駅に戻り、みたび空港へ。

果たして、行方不明のスーツケースの運命やいかに・・

 

予定より15分前に、昨夜と同じトラブル対応ルームへ入ると

例によって荷物を失ったらしき数人が順番待ちの状態。

昨夜と同じダンディなヒゲの職員が、対応にあたっていた。

ここはいつもこんな感じなんだろうな。

 

ちょうど予定時刻の少し前、ようやく私たちの番に。

と、こちらの顔を確認したとたん、

その職員がパッと笑顔を浮かべ、奥の部屋を指差すではないか。

ひょっとして、これは!

思わず小走りになって、奥の部屋に踏み込むと

そこには、見慣れた2つのスーツケースが!

しかも取っ手のところに、何枚ものタグがぶら下がっていた。

なんだかどこぞの大会の優勝旗みたいだな・・

ピント外れな感想を抱きつつ、タグを手に取ると

そこには「ルフトハンザ・ベルリン」のという文字が。

ああ、きっと朝イチのベルリン経由の便で運んでくれたんだ・・

とにかく、間に合ってよかった。

根拠の無い自信に裏付けされた《悪運の強さ》だけは、まだまだ健在らしい。

荷物を保管していた係員に笑顔でお礼を言い

取り戻したスーツケースを転がしながら

ヒゲの職員に「サンキュー!」と感謝の大安売り。

f:id:utatane-do:20200730230652j:plain

帰って来たスーツケース ルフトハンザのタグが痛い・・

こうしてやっと取り戻したスーツケースとともに、またまた列車に乗り込み、

3度目のジュネーヴ中央(コルナヴァン)駅へ。

すっかり見慣れた駅構内の売店で、サンドイッチなどの軽食を購入。

最初の予定通り、ジュネーヴ12時42分発ベルン行きの特急に乗り込んだ。

本日の旅程はジュネーヴ⇒ベルン⇒インターラーケン⇒グリンデルワルド。

トラブルさえなければ、16時08分に到着するはずだ。

 

てなわけで、このあと「楽園」の列車旅に続くのだが

書くことが多過ぎで、前半だけで疲れてしまった。

自分で決めたルールには反するが、続きは明日にさせてほしい。

 

ではでは、またね。