荷物紛失&空港野宿ではじまる素敵旅 ジュネーヴ発ボローニャ着 鉄道自由旅行2018 5/29-6/5 1日目 60'sふたり旅Ⅱ

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泊めてもらえなかった14000円のホテル😿

2018年5月29日 1日目 成田⇒コペンハーゲンブリュッセルジュネーヴ

 

いよいよ本日(2年前だが)から

高根の花だったスイスの旅へと出発することに!

前述したように、今回は成田⇒コペンハーゲンジュネーヴのルート。

成田発11時10分の予定なので、遅くとも9時までには到着しておきたい。

最寄り駅(徒歩10分)を6時30分に出る電車に乗れば間に合うが

例によって興奮するため前の晩はほとんど眠れず

結局6時過ぎに出発。8時30分頃にはチェックインを済ませていた。

あとは、昨日書いた通りに時間を過ごし、何事もなく機内へ。

 

今回、初めてスカンジナビア航空を利用することになったが

以前から「運賃設定がLCC並みに安い」と評判のエアラインで

事前の座席予約は有料(最近はこのタイプが多い)だが

フライト22時間前から可能なオンラインチェックインを使えば無料で可能なので

往復ともこの方法を使い、窓側席の確保に成功。

また、最初の1回以外、コーヒー・紅茶以外のドリンクが有料になるので

このとき(1回目)にお酒などをまとめて注文するとよい。

など、細かい注意点がいくつかあったが

初回のドリンクについては乗務員の方から3点のリクエストを訊かれ

それに応えるだけだけだったので、心配無用。

むしろ延々アルコールを注文する客がいないぶん、快適だった。

「安い安いって聞いてたけど、けっこういいじゃん」

――というように、好印象で始まったスカンジナビア航空の旅。

が――。

 

それが発生したのは、定刻通り1530にコペンハーゲン空港に到着。

多くの観光客で賑わうコンコースの中央にある巨大な電光掲示板で

2時間後に出るジュネーブ行きSK617便の搭乗ゲートを調べたときだった。

「あ・・あった!・・でも、あれ? なんか書いてあるけど」

いち早く目のいい相棒が「SK617」のパネルを発見。

だが、隣のワクにゲート番号の表示はなく・・

変わりに赤い「cancelled」の文字が。

そう。いきなりキャンセル、運行取りやめになっていたのだ!

 

「え、うそっ! そんなの聞いてないよ~!!」

突然キャンセルだなんて、いったいどういうことなんだ。

あわてて乗り換えカウンターを探し

係の女性に中学レベルの英会話とeチケットで

ジュネーブ便の運航停止を知らせ、なんとかしてくれ!と泣きついた。

すると、奥から日本人の女性職員が現れ

「あー、たぶん乗員不足ですね。こういうこと、よくあるんですよ」との答え。

そんな当日いきなり飛ばないなんて、よくあることなのかよ~。

単に利用客が少なくて採算が取れないから、直前になってやめたんじゃないのか?

など、邪推することしきり。

 

それでも、その場でテキパキとカウンターの係員に事情を説明してくれたおかげで

10分後には、プラハ乗り継ぎの航空券を手配してもらえた。

つまり、コペンハーゲンプラハチェコ)⇒ジュネーヴというルートだ。

ひと手間増えるため、ジュネーブ着は1時間ほど遅れるが

その程度ならば、ホテルが閉まる23時には充分間に合いそうだ。

 

「・・やれやれ、なんとか大丈夫そうだな」

新しい航空券を手に入れ、ほっと安堵の溜め息が漏れる。

んで、再びコンコースの電光掲示板を見上げ、プラハ行きの搭乗ゲートを・・・

と思いきや、またしても、そこには不穏な文字が。

必至に目を凝らして読み上げると――「delay 2 hours」。

な、なんと、出発が2時間遅れる、と記してあったのだ!!

「2時間遅れって・・それじゃ、プラハで乗り換えが間に合わないよ!

 ジュネーヴ行きの飛行機、出ちゃってるじゃん!」

 

あわてて乗り継ぎカウンターに取って返し

数分前にチケットを取ってくれた女性係員に

「ジャパニーズ、スピーカー、プリーズ!」と、日本人スタッフを要求。

出てきた彼女に、「航空便が遅れ、乗り継ぎ不能になった」ことを告げる。

すると彼女は、これまた何事もなかったように

「わかりました。ちょっと待ってください」と答え

傍らの係員ともういちど相談を始めた。

説明を聞いた係の女性は、手元のキーボードを叩くこと数分。

新たなEチケットをプリントアウトしてくれた。

今度は、コペンハーゲンブリュッセル(ベルギー)⇒ジュネーヴのルート。

そして終始明るい笑顔で、ハバナイスデイ!と送り出してくれた。

まったくもう、愛想だけはいいんだから・・

 

気を取り直し、改めてEチケットを確認すると

――ジュネーブ空港への到着予定時刻は10時すこし前。

だいぶ厳しくなってきたが、時間通りに乗り継いでいければ

ホテルが閉まる11時前までには到着できそうだった。

 

祈るような思いで、指定されたブリュッセル航空の機内に乗り込む。

ひょんなことから初めて利用することになった、ブリュッセル航空だったが

ブリュッセル行きもジュネーブ行きも、空席がいっぱい。

2人それぞれ窓側に座り、ヨーロッパの夕景と夜景を楽しめた。

機内でのホスピタリィも極めて上質。

ドリンクと美味しいチョコレートが提供され

ちょっと得したような気分だった。

となれば当然、時間にも正確!

予定よりも少し早い、夜10時前にジュネーヴ空港に到着。

スムーズに入国審査を終え

10時過ぎに機内預け荷物の受け取りスペースへ。

あとは、スーツケースを引き取るだけ!

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

なかなか出てこない、と思っていたら

ベルトコンベアーがストップ。

――――ひょっとして、これって・・!?

思わず、俺たちは顔を見合わせていた。

そう。成田で預けたスーツケースが、ふたつとも行方不明に!

泣きっ面にハチとは、まさにこのことだ。

 

2回も途中で飛行機を乗り換えたから、嫌な予感はしてたんだよな。

だから、コペンハーゲン空港の日本人職員のお姉さんには

「機内に預けた荷物は、ちゃんとジュネーブに届きますよね?」

「はい、大丈夫です!係りの者がしっかり把握してますから」

と、確認を怠らなかったのに。

なのに・・まったくもう!口だけじゃなくて、ちゃんとやってくれよ!!

こんなことなら、コペンハーゲンで荷物をピックアップしてしまえばよかった。

 

ともあれ、後悔先に発たず。

荷物引き渡し所の隅にある、クレ-ムカウンター?へと足を運ぶ。

すでにそこには、われらと同じ境遇になっとおぼしき数人の先客が並んでいた。

いましも、一人の若い女性が涙を金髪で隠しながら

トラブル対応の係員とやりとりしていた。

やむなく待機中の最後尾につき、順番を待つ。

その間も、刻々と時は過ぎていった。

そして、10時30分をだいぶ過ぎたところで、ようやく我らの番がくる。

30~40代と思える髭を蓄えた男性職員に向かい

乏しい会話力を駆使して、預けたスーツケースが届いていないこと

何度も経由地が変更になったこと、などを告げる。

すると、さすがに荷物紛失の対応には慣れているらしく

職員はすぐに事情を察し

行方不明になったスーツケースを探す手配に取り掛かった。

さらに、今夜から宿泊する予定のホテル名と場所を尋ねてきた。

荷物が見つかったら直接宿まで送り届ける、というのだ。

 

それは助かる!でも、もっと切実な問題が迫のつつあった。

そう、今夜予約したホテルの〈チェックイン期限〉。

すかさず、この日予約したジュネーヴのホテルのバウチャーを見せ

夜11時までにチェクインしないと宿泊できない!・・と訴えた。

さらに、ホテルの人に事情を説明して何とか待ってもらえないか、頼んでみた。

すると職員は、事情を察し、その場でホテルに電話。

先方と二言三言やりとりした後、こちらに結果を教えてくれた。

だがしかし・・二人ともヒアリング能力は中学生レベル。

ほとんど何をしゃべっているのか理解できず

かろうじて「××すれば大丈夫」的なニュアンスが伝わってきただけ。

 

そうこうするうちに、時刻は11時。

ホテルの件はいったん諦め、ロストバゲッジの創作手順の確認に集中することに。

結局、明日の宿泊地はグリンデルワルトなので

明日のひる12時、いったん荷物の確認に立ち寄り

そのときスーツケースが届いていなければ

グリンデルワルトまで送り届けてもらう手はずになった。

 

ようやくもろもろが終了。

ふと時間を確かめると、11時30分。とうに門限は過ぎていた。

とにかくダメもとでホテルまで行ってみよう。

ガックリ落ち込んだ気持ちを奮い起こし

空港に直結している駅からジュネーヴ市内に向かう電車に乗り込む。

(ちなみに搭乗券の半券があれば、市内まで無料で行けます)

中央駅にあたる「コルナヴァン駅」まで、わずか6分。

ほんとに、あっという間だ。

真夜中近く、人気も明かりもスカスカになった駅を出て、

地図を頼りに歩くこと5分。

空港から15分で、ホテル・サンジェルジェの入口に到着した。

予想通り、ガラス張りのドアはぴったり閉ざされ、呼んでも叩いても誰も出てこない。

電話を掛けようにも、プリペイドSIMカードを購入するチャンスがなかったため

手持ちのスマホでは通話不可能だった。

――万事休す。

5月末とはいえ、ジュネーヴの夜は肌寒く

このまま屋外で朝を待っていたら、こごえてしまう。

 

「しょうがない、電車のあるうちに空港に戻ろう」

この時点でも空き部屋を探せば

どこかで休むことは可能だったかもしれない。

だが、おそらく1泊3万円コース。

どちらの脳裏にも、その選択肢はチラリとも浮かばなかった。

――空港の中なら、横になれる場所ぐらいあるだろう。

なるようになる、どこか根っこのところで楽観的なふたりは

再び中央駅に取って返し、夜半過ぎの電車でジュネーヴ空港へ向かうのだった。

 

ではでは、またね。