"無知の恥"を痛感させられた本 『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』安積陽子 周回遅れの新書Rock

マスコミ(テレビ)業界人によくあるパターンだろうが

「見てくれなんかどうでもいい。中身で勝負だ」と言い訳しながら

清潔さ(臭くはない)と簡素さ(ユニクロで充分)のみを最低限の心がけとし

それ以上の身だしなみに関しては、ずーーっと目を逸らし続けていた。

だが、そんな”無知の恥”を、思い知らされる時が来てしまった。

ひょんなことから『NYとワシントンのアメリカ人が・・(以下「NY」と略す)』を開いてしまったからだ。

で、一読後、たまらず天を仰いでしまった次第。

――それ、もっと早く教えてくれよ~っ!!

 

なんともボヤけた題名からは推測しにくいと思うが

この本は、政治家や実業家など、世界で活躍することも少なくない大人たちが

世界中で暗黙のうちに常識とされている洋服の着こなし方を逸脱し

己の無知ぶりをさらけ出しているのかという現実を

最近の実例を挙げつつ解説したものである。

誤解しないでいただきたいのは

いわゆる「上流階級のマナー」を教える本ではなく

公衆の前でこんな無神経な「装い」を平然としていると

どんなに優秀な実績を挙げた人であろうと

国際社会では非常識な人間だと規定されかねない、ということだ。

 

実際、読めば読むほど

自分自身を含めた日本の著名人たちが

いかに厚顔無恥で礼儀知らずなボディーランゲージを

他国の大多数の人々に向けて発信しているのか

文字通り”青ざめて”しまう。

そして、トランプ大統領は言うまでもなく

安倍晋三鳩山由紀夫稲田朋美蓮舫、さらにホリエモン

TPOに応じた自己演出がまったくできておらず

世界中の教養とステイタスのある人々から

「クスリと笑う」どころか

冷ややかに軽蔑されている事実を痛感せざるを得ない。

なかでも目につくのが

日本人政治家の見事なまでの「無知蒙昧」ぶりだ。

こいつら、本当に大人なのか?

自分が周りにどう見えているのか、チラリとも考えないのか?

なぜ、誰も彼ら彼女らの「勘違い」を指摘しないのか?

――ひょっとして、この人たちは、自分のこと以外なにも考えていないのでは。

空恐ろしいばかりの疑問は、膨らみ続けるばかり。

 

とにかく、驚きと発見の一冊である。

 

だが、手放しで賞賛できないことが2点ばかり。

 

ひとつは、題名。

誰が考えたかは知らないが、単なるファッションチェックの本としか思えない。

本書が語っていることは、遥かに重く、大きいものである。

事実、私もこのタイトルを知って、あやうくパスしてしまうところだった。

もしこの「軽さ」が狙いだったら、私は首を傾げざる得ない。

 

そしてふたつめは

日本人には珍しい「着こなし上手」に挙げられている人物が

中曽根康弘麻生太郎小池百合子小泉進次郎という面々であること。

解説を読む限り、確かに彼らは自身の体形や個性にフィットした

スマートな装いを実現している。

しかし、そこに《政治家としての中身》はどこまで詰まっているのか?

特に最近の、麻生、小池、小泉氏らの言動(特に行動)を観察するかぎり

ぶっちゃけ〈上っ面と言い訳ばかり〉の薄っぺらな人物にしか見えてこないのだ。

たとえば、己の決断力や実行力の欠落ぶりを誤魔化すために

自己プロデュースに全力を注いでいるのでは・・なんて邪推したくなるぐらい。

 

はてさて、外側も内側も強力無比。

名実ともに世界と肩を並べうる〈本物の逸材〉は

いったいいま、どこでなにをしているのだろうか・・

少なくとも、いない、とは考えたくない。

 

ではでは、またね。