日本の得意技〈後手後手作戦〉はコロナに限って正解かも ――本日の"なんだかなぁ"

アメリカやブラジルを例に出すまでもなく

依然として全世界的なパンデミックを巻き起こしている

新型コロナウィルス。

幸い、なんらかの僥倖に恵まれ、

今のところ比較的少ないダメージに留まっているこの国でも

決して楽観できるような状況ではない。

 

にもかからず・・

最近、マスクを着用していない人が増えてきた。

「若い世代」「夜の街関係」と

あたかもそれが犯人であるかのようにマスコミは連呼するが

世代、性別、時間帯などにはまったく関係なく

守らない奴は、守らない。

自分だけは大丈夫!という根拠レスな過信の持ち主は

必ず一定の割合で存在しているからだ。

それにしてもいったいどこから来てるんだろうね

最近の日本人の「危機感のなさ」は。

 

くわえて、ここまでなんら強制力のない「自粛のお願い」を

頑張って守り続けてきた〈民度の高い庶民〉の間にも

そろそろ限界が見えてきたようだ。

いや、「限界」などという切羽詰まった危機感ではなく

《飽きてきた》というほうが的確だろう。

これには、私たち日本人の特殊なメンタリティにも

深い関係があると、私は考える。

 

そもそも、日本は世界でも最も災害が多い特殊な国である。

記憶に残るだけでも、阪神淡路大震災東日本大震災といった巨大地震

毎年のように襲いかかる、巨大台風。

そして、いまこの瞬間も九州や本州内陸の河川を氾濫させ

犠牲者を続出させている、猛烈な豪雨などなど。

「歴史上前例のない」と称される天変地異が

これでもかこれでもかと襲いかかってくるのだ。

そんなトンデモ風土に暮らす我ら日本人のメンタリティは

科学と技術の力で自然に対抗し

支配することをよしとしてきたいわゆる欧米の諸国とは

大きく異なる一面を持っている。

そう。どんなに頑張っても大自然を完全にコントロールすることはできない。

という諦念と許容の心理である。

 

たとえば、ある日突然、巨大災害が襲ってきたら

しゃにむにこれと闘おうとするのではなく

できる範囲で逃げて守って、その結果を静かに受け入れ

可能な限りすみやかに気持ちを切り替え

もう一度ゼロから再起するべく全力を尽くす。

――というところだろう。

 

そもそも、住居からして「長持ちしないように」作ってある。

いくら燃えやすく老朽化しやすい木造家屋だからといって

最初から耐久性を心掛けて建造していれば

かの法隆寺がそうだったように

100年どころか1000年維持することも不可能ではないのだ。

だが、この国の建築法では、建造から30年も保てば上出来。

50年以上前の建造物は、前時代の遺物のように見なされてしまう。

なぜなら、少なくとも太平洋戦争後の日本において住居は

およそ20~30年という極めて短いサイクルで

「すぐに壊して」「すみやかに建て替える」ことで

本来必要とする数の数倍に達する建築業者を維持できているのだから。

 

――うわ・・話がわき道にそれてしまった。

本筋は、日本人ならではの「諦めの良さ」と「忘れっぽさ」だった。

 

ともあれ、そんな〈熱しやすく、醒めやすい〉庶民のメンタリティを

最大限に利用しようと画策しているのが、いまの為政者たちだ。

先月までのピリピリぶりから遥かに遠く

以前なら緊急事態宣言を発していたレベルに感染者数が増えても

まるでそれが神のお告げのごとく

あらかじめ決めたスケジュールにしたがい

粛々と規制緩和を続行していく。

確かに、従来と同程度の厳しい基準を守っていたら

今度こそ大量の倒産が現実のものとなり、社会が立ちいかなくなってしまう。

多少感染が広がったからと言って

簡単に後戻りするわけにはいかない。

 

だから、何が言いたいのかというと――

今後、この国の新型コロナウィルス対策は

徐々に「諦め」「受け入れる」方向にシフトしていく、と思うのだ。

幸い、現時点で、日本人を含めたアジア人は

このウイルスに対する高い耐性を保持していることが判ってきた。

事実、死亡率に関しては、

通常のインフルエンザより、だいぶ低いレベルに留まっている。

それに、どれほど厳重な監視システムを決行しようが

100パーセント守れないことは、中国や韓国が実証してしまった。

だから、ぷっちゃけ

病院が対応出来るギリギリまで経済活動はストップさせず

〈可能な限り低レベル感染を維持し続けていく〉

という戦略こそ―えらくリスキーな綱渡りだが―

最も現実的な未来図ではないだろうか、と愚考する次第。

 

実際、すでにEU諸国は、

このラインに沿って新たなチャレンジを始めているようだしね。

(ただ、早くも暗礁に乗り上げつつあるような・・)

案外、この未曽有の危機をきっかけに

〔日本的な受容と諦観〕が世界のトレンドになっていくかも。

  

ではでは、またね。