名所観光は朝or夕方がベスト! エストニアからラトヴィアへ 2019.6.27-7.4 2日目 60'sふたり旅

2019年6月28日(金)

 

朝いちばんで向かったのは

トラムで駅ほどのバルティ・ヤーマ市場(Baiti Jaama Turg)

朝9時に開くマーケットで観光がてら朝食を摂ろうという目論見だった。

だが、目論見通り9時過ぎに着いてみると・・開店前の店ばかり。

まして飲食店は、これから仕込み、という雰囲気。

 

すぐ気持ちを切り替え、トラムで引き返すことに。

旧市街をぐるりと回り込み、空港へと向かう途中にあった

長距離バスターミナルを目指す。

実は、日本で何度かトライしたものの

翌日向かうクレッサーレ(サーレマー島)行きのチケットが予約できず

改めて現地で購入するしかなかったのだ。

 

さて、最寄りの停留所から歩いて数分のバスターミナルへ。

ガラスを多く取り入れた、明るく開放的な平屋造りにホッとする。

さっそく窓口を探し、時刻表をチェックしてみると、

朝から夜まで7~8便程度という充実ぶり。

いずれの便も、充分席には余裕があるようだった。

「歩き方」には「1日10便以上運行されている(夏期)」とあったので

たぶん大丈夫だろうと思っていたが

こればっかりは実際に確かめるまで、安心できない。

明日から2泊の宿も予約済みだったし。

 

ともあれタリンからクレッサーレまで、所要およそ4時間。

しかも好きな時間に出発できると分かったところで

急遽、予定を変更することに。

朝イチで出発し、午後早くクレッサーレに到着するスケジュールだったが

14時18分発の便に変えたのだ。

理由は、この後行く予定だったエストニア野外博物館のイベント。

『歩き方』をチェックしてみたところ

「シーズン中の週末、11時からフォークダンスが実演される」とのこと。

そう……明日の29日は土曜日。

予定を半日ずらせば、フォークダンスを見学できるのだ。

 

こうして無事、翌日14時過ぎのバス便を予約し、ホッと一安心。

ついでにターミナル内にあるセルフサービスのカフェ

遅めの朝食をとりながら、本日の予定を確認することに。

サラダやサンドイッチなど、簡単でありふれた料理だったが

味付けはなかなか。なにより、野菜が美味しい。

物価も日本と同程度か、いくぶん安めといったところ。

スイスやフランスのように、残金を気にしながら過ごす必要はなさそうだ。

B級旅行がモットーなだけに、これはありがたい。

 

とにかく、今日はめいっぱいタリンを愉しむことにしよう!

再びトラムに乗り、今度は旧市街の南側へと移動。

そこから、タリン観光の目玉のひとつ、トームペア城を目指した。

すると、ゆるい坂道をてくてく登っていき

ネギ坊主屋根が特徴のロシア正教の教会が見えてくると

いつのまにか周囲に大勢の観光客の姿が。

さらに、3つある展望台を順に見て回るうち

いったいどこにいたのかと思うほど大量の観光客が

街角にひしめき合い始めた。

まるで、ゴンズイ玉だ。

そうしたなかでも、目についたのが東アジア系の顔をした方々。

仲間同士で発する言葉や仕草から、すぐ中国か韓国の観光客だとわかった。

みなさん、旧市街ならではの絵ハガキショットをゲットしようと

狭い展望台の上でベストポジションを競い合っている。

うーん、これはちょっと……

思わず相方と見交わす。

「夕方、また来ようか」

「そうだね、他を回ってみよう」

たぶん見学ルートの都合で、昼前後のこの時間だけ込み合ってるのだろう。

 

はや小一時間歩いていた。

小休止がてら、大聖堂(Toomkirik)に入場することに。

展望台とは一変して、こちらはガラガラ。

素朴なステンドグラスから差し込む光のなか

800年前に作られた重厚な世界が広がっていた。

古びたシャンデリア、壁や床を埋めつくす墓碑銘、各列に扉が付いた信徒席など

どこをとっても中世ヨーロッパ、という雰囲気が色濃く感じられる。

圧倒的な静けさと安らかさに包まれ、ふたりともキリスト教徒ではないが

扉を開けて信徒席に座り、まったり時間を過ごしてしまう。

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静謐なトームキリク(大聖堂)

さあ、エネルギーもチャージできたし、そろそろ出ようか

と、出口に向かいかけたところ、ふと脇に階段の上り口が見えた。

どうやら、ここから塔の上に登れるらしい。

せっかくだから、行ってみようか。

どちらからともなく提案し、5ユーロ払って登ってみることに。

すると・・薄暗い照明の下、人ひとりがやっと登れる狭い木の階段が

何回も何回も折り返し、上へ上へと続いていく。

たまに上から降りてくる人がいるが

その場合は、どちらかが踊り場で待たなければ擦れ違えない。

入口に「団体客はお断り」と書いてあったが

確かに、これじゃ無理だよな。

息を切らしながら、ここが頑張りどころと、一歩一歩昇りつめる。

 

と、ふいに目の前に強い光が射しこみ

心地よい風が吹き込んできた。

気が付くと、古い板張りの展望台の上にいた。

安全を確認するために配置されたのだろう

椅子に腰かけた一人の若い女性が、にっこり微笑みかけてくれた。

他には、誰もいない。

そして・・・見渡す限りの、タリンの街。

なんて気持ちいいんだろう。

四方の景観をふたり占めして、飽きることなく眺めるうち

じわじわと、タリンの素晴らしさがしみ込んできた。

そう。空爆などの被害に遭わなかったおかげで

この地域には、ドイツの古い町並みがそっくりそのまま残されているのだ。

 

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塔の上で

ようやく、身体が旅に慣れてきた感じがする。

すっかりリフレッシュしてトームベアの丘を降り

昨夜ちょっと覗いたラコエヤ広場へ。

ラッキーなことに、年に一度だけの工芸見本市が開催中だった。

な野球場ほどもある広場いっぱいに

数百もの出店が何列にも渡って並んでいる。

メインは地元の名産、毛織物の靴下・手袋・帽子など。

なかには地方のカラフルな衣装をまとったおばあちゃんたちが

テーブルを囲んで実演しているコーナーも。

ここも大勢の観光客で込み合っていたが

先ほどの展望台とは違い、大半が地元の方々らしい。

みなさんのんびりと、出店から出店を覗いてはそぞろ歩いている。

 

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ラエコヤ広場の工芸見本市 

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カラフルな手作り品たち


いくつか目に留まった品物もあったが・・

「うーん、まだ旅は長いからね~」

と、相方。

ここで調子に乗って買い込んでしまうと

最後までずーっと持ち歩かねばならなくなる。

「別送」という言葉は、われわれの辞書には無いので

かさばる品は諦め、タリンの国旗の色をステンドグラス風にアレンジした

ヨット型のガラスプレートだけを購入することに。

 

それにしても、陽射しが強いなぁ・・と思ったら、はや午後1時を過ぎていた。

どこか手頃なお店でお昼にしようか。

と、広場から伸びるレストラン街に足を踏み入れると

あちらこちらから生演奏と人々の歓声が。

見渡す限り、土産物の店やカフェ・レストランなどなど。

道幅の半分ほどまでズラリとテラス席に埋め尽くされ

ほろ酔い気分の観光客が歌声を上げていたのだ。

なぜかこのあたり、アジア系の顔はほとんど見かけず

アングロサクソン系の方々ばかり。

団体ツアーのコースからは外れていたのかも。

 

残念ながら、この喧騒のなかで一緒に騒げるほど外交的ではなく

コミュニケーション能力にも難があるわれわれふたりは

すごすごとわき道に外れ

スマホのマップを見ながら事前にチェックしておいた店を目指した。

薄暗い地下へと向かう階段が目印の

老舗のパブ、カルヤ・ケルデル(Karya Kerdel)。

「旧市街でこの安さは驚異的」という文字に惹かれて

照明を落とされた、一見クラブ風の店内に

あれれ、失敗したかな・・

と思いつつシードルと2人分の食事を注文したところ、これが大当たり!

なんと二人合わせて総額15ユーロ。

異常に安く、おまけに味も良好。

結果的に、タリンで一番の食事処となった。

 

現金なもので、安くて旨いものに出合えると、機嫌がよくなる。

お酒に弱く、たかがシードルで赤くなった顔を帽子で隠し次なる目的地へ。

 

ぶらぶらウィンドーショッピングを楽しみながら、ヴィル門から旧市街を出て

ヴィル・ケスクス(Viru Keskus)というショッピングセンターに入る。

この地下に、市内近郊へのバスターミナルがあるはずなのだ。

案内にしたがって停留所で待つこと10数分。

ここでも、ウヒスカールトをポンとかざすだけで支払い完了。

最近のヨーロッパでは、こうしたプリペイドカードが普及しているので

以前に比べてはるかに移動しやすくなっている。

バスやトラムに乗るたび、小銭を数えていた頃を思えば夢のようだ。

 

地元の人々を満載したバスは、やがてタリン港を臨む海沿いの道へ。

地図アプリを頼りに、――このへんだろう!

と、降車ボタンをプッシュ。

マップの案内に従い、一路目的地に向かったのだが・・

なぜか駐車場っぽい空き地で行き止まり。

目指す施設は見えているのだが、先に進めない。

炎天下の中、立ちすくんでいると

相方が、近くでキャンピンクカーを洗う女性に近づいていく。

ガイドブックを手に、身振り手振りでルートを訪ねているようだ。

 

そう。言い忘れていたが、実はふたりとも、ほとんど英語を喋れない。

簡単なあいさつや単語だけで、ここ30年の海外旅行を乗り切ってきたのだ。

冷静になって考えてみると、かなり無謀ともいえるが

案ずるより産むがやすし。

言葉が通じずとも、書いたり、身振りで示せば、だいたいはなんとかなる。

それに近年は、スマホのマップと翻訳機能が登場!

おかげで、旅先でのコミュニケーションで苦しむケースは激減してくれた。

これから海外の個人旅行を目指す方々は

英語(外国語)が喋れないから、自分たちには無理、などと諦めず

ぜひSIMフリースマホを手に(1万円台で新品が購入可)

発見と興奮と充実の旅を体験してみていただきたい。

 

話が脇に逸れてしまったが

コミュ障ぎみで人見知りな当方とは異なり

相方は笑顔と愛嬌を武器に誰にでも近づくことができる

なので、今回も、目に留まった現地の人(たぶん観光客)に

臆することなく近づき、道を尋ねてくれたのだ。

おかげで、すぐに迂回路を発見。

長く続く芝生のエントランスの先に

目指していた巨大な建造物が姿を現わした。

歌の広場(Lauluvalijak)。

5年に1度、エストニア最大の祭り、歌と踊りの祭典のクライマックス

各地から集まった3万人以上の歌い手がコンサートを披露する

その会場だった。

 

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              歌の広場(裏側でごめん)

 

実はここで、痛恨のミスを告白せねばらない。

なんと我々が足を踏み入れてから、1週間後の7月5日から

その歌の祭典が開催される予定だったのだ!

なのに、その事実に気づかぬまま、宿と航空券を購入。

日程変更など不可能になった、出発1カ月を切った頃になって

初めて正確な日程を知ったときの悔しさたるや・・・!

用意周到に計画を立てたはずなのに、なんでこんなミスをしてしまうのか。

とてもつない悔しさと同時に

この次は絶対リベンジしてみせる……と、深く心に誓うのだった。

 

10万人以上の観客で埋め尽くされるという

ステージ前の広々とした芝生に寝転び

コンサートの情景に思いをはせること、しばし。

見渡す限りの緑のなか

たぶん地元の人なのだろう、子供連れの家族がのんびり過ごしていた。

 

うーん。

ここまで書いて、まだ午後3時過ぎといったところ。

実質的な旅の第1日目とあって、さすがに書きたいことがてんこもりだ。

 

でも、さすがに長すぎる。

ひとつひとつ書いていたから、日が変わってしまう。

なので、あとは駆け足で・・

 

再びバスに乗り、ショッピングセンター下のスーパーマーケットへ。

水やチョコなど必要な品だけを購入し、いったん宿に戻ってひとやすみ。

まだまだ午後の陽射しが強い午後8時過ぎ、みたび旧市街へ。

昼間諦めた展望台からの夕景を満喫(この時間はガラガラだった)したあと

路地を散策したり、店を冷やかしたり。

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夕暮れ迫るタリン旧市街

そして夕食。

タリンはこれが最後だからと、ちょっと奮発した。

地元で人気の店「ヴァイアケラスタカエヴ16」へ。

奮発とはいっても、日本のフレンチレストランよりずっと安いんだけどね。

行列覚悟と書いてあったが、運良く待たずに座れた。

大きなガラス窓が通りに向かって広がる、開放的な店内。

ムース(大鹿?)のステーキなど、地元の食材を使ったユニークな料理。

確かに手が込んでいて、美味・・なんだけど

バターとミルクの味が、じわじわと舌に溜まっていく感じ。

おっさんとおばちゃんの日本人には、ちょっと重たく、もたれそうだった。

「なんか、お昼の方がおいしかったね」と相方。

まったく同感。しかも値段は3分の1。

やはり背伸びはせず、B級を心掛けた方がよさそうだ

 

ようやく宵闇が近づき

青から赤へと彩を移していく澄んだ空を見上げながら

とことこホステルへの道をたどっていく。

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街のあちこちにいる動物たち

明日は、野外博物館。

そして今回の目玉、サーレマー島へ。

はてさて、何が待ち受けているのやら・・・

 

ではでは、またね。