人はなぜ鎌倉に通うのか。そのワケが、やっとわかった。 鎌倉ふたり旅 2022.4.17-18 2日目(1) 鎌倉駅前~海蔵寺

2022年4月18日(月)鎌倉駅前(ホテル〕⇒海蔵寺

         今回のベスト・オブ・ベスト!ーー海蔵寺

 

朝8時、中華粥セットの朝食をおいしくいただき

9時過ぎにはチェックアウト。

大きな荷物は夕方まで預かってもらえるので、今日も身軽だ。

空模様は、曇り時々晴れ。

天気予報は昨夜の時点だと「昼すぎから雨」だったが

今朝になったら「15時以降」にずれ込んでいた。

さて、自称〈晴れ男女〉の悪運はどこまで天に通じるか。

 

   早朝、大勢の学生が鶴岡八幡宮目指して歩いてた(その写真を撮っとけよ)

      朝食は中華粥。温泉旅館の和食に飽きた身には、新鮮&美味!

 

若宮大路を南下し、朝イチで向かったところは鎌倉市農協連即売所。

地元では"レンバイ"の名で親しまれる、野菜市場だ。

早めの時間帯とあって、鎌倉野菜をはじめ採れたての野菜がずらり勢揃い。

値段も手ごろで、どれも美味しそう・・

しかし今回は「買い物籠」がわりの車がないため、二の足を踏んでしまう。

結局、ウィンドウショッピング?で終始することに。

 

さて、どうしよう。

昨日立てた予定だと「雨模様だし朝から江ノ電でいいかな」と思っていたが

思ったよりも雲は薄く、眩しい陽射しも降りてくる。

せっかくの晴れ間だから、もう少し「花の寺巡り」をやってみるか。

 

江ノ電鎌倉駅に背を向けて、横須賀線を右手に北上すること20分。

桜や藤で知られる「英勝寺」を迷った末パスして

たどりついたのが、ちょうど鎌倉駅北鎌倉駅の中間に位置する、海蔵寺

ちょうどこの時期(4月上旬~中旬〉、本堂前のカイドウが盛りだというのだ。

 

だが、それ以前に、山門に向かって伸びる参道の"心地よさ"が格別だった。

何の変哲もない住宅街なのだが、左右から頭上を覆う青々とした新緑が眩しく

そこに、昨日からすっかり耳に馴染んだ「ホーーッ、ケキョ」。

ウグイスの澄み切ったさえずりが、絶妙のアンサンブルを奏でてくれる。

この道をぶらぶら歩いているだけで、幸せな気持ちになってしまう。

 

      海蔵寺の山門前。すでにここから"美の世界"は始まっていた。

         手前にツツジ?。左手奥に本堂を臨む。

 

しかも、拝観料(入場料)ナシということで

さほど期待せずに入った海蔵寺の、山門と本堂の間に広がる庭園、

その佇まいは、「見事!」としか言いようのない素晴らしさ。

 

      昨日も見たヒメシャガ。紅白のコントラストが目を引く。

         なんとかカイドウの花も間に合った。

        バラ科リンゴ属のハナカイドウ・・で合ってるよね?

 

たぶん、"たまたまいい時に訪れた"だけなのだろうけど

ツツジヒメシャガ・カイドウ、さらにヤマブキなどなど。

緑深い境内のなか、それぞれが絶妙な配置で花咲かせるものだから

どの場所にデジカメを向けても〈絵になる情景〉が、撮れてしまうのだった。

 

          本堂の左手には、ヤマブキの花畑?が

      バラのようにも見えるけど、きっとヤマブキに違いない。

     本堂裏手に広がる山水庭園。できれば本堂内から眺めたかった。

 

おまけに、庭園はもちろん本堂の中まで、手入れが行き届いており

それがまた本堂脇にひっそりと咲くヤマブキの黄色と相俟って

静かな情景を創り出している。

 

          チリひとつなく磨き立てられた本堂内

          屏風に記された墨跡を目でたどる

 

昨日から、四季折々の花々で有名な寺をいくつか見て回ったけど

今回の旅では、ここ海蔵寺が、文句なしに《最も美しい庭園》だった。

しかしそのいっぽうで、こうした出逢いもまた"一期一会"なのだ――

という当たり前の事実にも、気付かされた。

なぜなら、わずか数日、訪れる時が前後しただけで

《最も美しい庭園》の称号は、他の寺社に移っているに違いないのだから。

 

         左手隅から臨んだ庭園。これまた、絵になる。

        鐘楼脇からの眺め。・・・やはり、只者ではない。

 

ああ・・・この"魅力"があるから

毎年毎月、飽きもせず鎌倉を訪れる人達が絶えないのだなあ。

 

40年以上前から今まで、両手の指で足りない回数訪れた観光地だったけど

今回初めて、(四季折々の愉しみ方〉に気づけたんじゃないかな。

今頃になってやっとかよ・・なんて、言われるかもしれないが

知ったからには、満喫するっきゃない。

せいぜい暇を見つけては、この古都を愉しむとしよう。

とりあえずは、ハナショウブが咲く6月の海蔵寺

あるいはノウゼンカズラが咲く7月の海蔵寺

ーーって、海蔵寺ばっかじゃん。

 

  「十六の井」(拝観百円)も訪問。ウグイスの声が近く、耳に痛いほどだった。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須賀の"大河"は筋金入りの「暴れ川」! 『芙蓉千里』『北の舞姫 芙蓉千里Ⅱ』『暁の兄弟 芙蓉千里Ⅲ』『永遠の曠野 芙蓉千里Ⅳ』 須賀しのぶ 周回遅れの文庫Rock

シベリア・モンゴルの曠野を舞台に

めっぽう"男前の"ヒロインが

舞い踊り・駆け回り・闘いまくる、超冒険物語だ。

 

時は1920年代のはじめ。

日本が日露戦争に勝利し、イケイケドンドンで大陸に進出していたころ。

12歳の少女が、海を渡り、はるばるハルピンまでやってきた。

天蓋孤独だという少女の名は、「フミ」。

その夢は、なんと――大陸一の売れっ子女郎になる!

 

これまで山ほど小説を読んできたけど

「売春婦になるのが夢」と瞳を輝かせる12歳のヒロインなんぞ

後にも先にも、お目にかかった記憶がない。

 

だってヒロインだぜ!?

それも現代なら、やっとこ中学に入ろうかというお年頃だ。

なのに「フミ」ちゃんってば、すでに"ひととおりのこと"は体験済み。

セックスなんかあいさつ代わり、といわんばかりのオープンぶりなのだった。

 

そんなこんなで、女郎見習いフミは

ヒロインにまつわる読者の夢と幻想を、かたっぱしからなぎ倒しつつ

ひたすら前向きに、パワフルに、己の未来を切り開いてゆく。

 

ひと晩に7~8人もの客を取るのが、当たり前。

文字通り"我が身を削って"日々を過ごす女郎たちは

多くが三十になるやならずで身体を壊し

浮世の底へと消えてゆく。

先輩女郎が吐き捨てるようにつぶやく言葉が、象徴的だ。

「あたしたちはみんな一度死んで、ここに落ちてきた。だから、もう一度死ぬことなんか、簡単なんだよ。ちょっとしたきっかけで、すいっと踏み越えちまう」156p

 

それでも女郎屋で、下働きに励しかない「フミ」だったが

ひょんなことから日本時代に習い覚えた踊り(角兵衛獅子)の才能に注目され

身体を売る女郎ではなく、踊りを売る芸妓への道を歩むことになった。

 

続きを書くのはメンドイので、『芙蓉千里』バックページを拝借したい。

夢を共有する美少女タエ、妖艶な千代や薄幸の蘭花や各々の業を抱えた姉女郎達、そして運命の男・大陸浪人の山村と華族出身のの実業家黒谷‥‥煌めく星々のような出会いは、彼女を何処へ導くのか!? 〔巻末〕

なんだか、"投げっぱなしジャーマン"のような予告文?だけど

まさしくこの文言通り、フミの人生は作者以外誰も予想しえない未来へと舵を切る。

いや、ほんとに、女郎(遊郭)話かと思って読み始めたら

"大陸一の踊り子"を目指す、日本舞踊&バレエのストーリーへと変貌。

ガラスの仮面」や「チョコレート・コスモス」っぽくなってきた。

20世紀初頭の芸能ワールドが主軸になるのか・・と思いきや

命懸けで築き上げた名声もキャリアもあっさり投げ捨て

まさかまさか、"そっち方面"に全人生をつぎ込むとはーー!?

 

波乱万丈。天衣無縫。急転直下。絶体絶命。

うーん・・つまるところ、愛こそすべて? ってヤツなのか。

なにはともあれ、1巻から2巻、2巻から3巻、はたまた3巻から最終の4巻まで。

起承転結の型に収まりかねないストーリーのタガを、片っ端からハズしまくり

天に届けとばかり燃え盛るどでかいキャンプファイヤーをぶっ立てた

著者・須賀しのぶの〈男前ぶり〉に脱帽するしかない。

なにせ、こんな物騒なセリフが"しれっ"と発せられるのだから。。

「覚えておけよ、おフミ。一番利用しやすいのは、自分は正しいと信じこんでいる善良な莫迦だ。この大陸で生き延びるなら、常に疑う悪党になれ」①175p

ーーいまこのときの世界に必要不可欠な〈知恵〉だ。

 

2巻以降の名文・メイゼリフは、ぜひご自身で見つけ出していただきたい。

では最後も、『芙蓉千里』のうたい文句をコピペしちまおう。

‥‥女が惚れ、男は眩む、大河女子道小説ここに開幕!! 〔巻末より〕

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旅割クーポン」の使い勝手の悪さに四苦八苦 鎌倉ふたり旅 2022.4.17-18 1日目(4) ホテル~小町通&駅前ぶらぶら

2022年4月17日(日)報国寺~杉本寺~瑞泉寺鎌倉宮鎌倉駅周辺

        夕方6時。ホテルのベランダから大きな虹が・・

 

宿泊の2日前になってから、「かながわ旅割」が適用できる運びとなり

買い物クーポン欲しさにキャンセル料を払って、ホテルの予約を取り直した。

なのでチェックイン後、フロントの方から「クーポン用紙?」を受け取ったときには

やれやれ、これで"お土産分"だけはゲットできた。

と、心の中でひと安心したのも束の間・・・

その後の〈手続き〉に、四苦八苦することとなってしまう。

 

実際に「かながわ旅割」を利用した方なら、間違いなく経験済みだと思うが

ひとりあたり2000円の買物券(クーポン)は

スマホに専用アプリをダウンロードし、そこにチャージしないと使うことができない。

普段使いは、自宅のデスクトップパソコンとガラケーのみ。

スマホは持っているものの、自宅WiFi頼みの「シムフリータイプ」。

外出先だとほぼグーグルマップ専用機になる、"スマホ音痴"にとっては

この手の〈ダウンロード&クーポンチャージ〉は

いきなり微分積分の問題を解け!と命じられたかのごとく

とてつもなく高いハードルに変じるのだ。

おまけに相方は、ダンナ(俺だ)の遥か上をゆく"スマホ音痴"。

ここはなんとしても独力で、クーポンチャージまで漕ぎつけねばならない。

 

     3階にあるホテル受付。対応は「すばらしい」のひとこと。

 

そんなわけで、若宮大路の眺望抜群な4階角部屋に入り

ベッドの上に座り込んだまま

旅割パンフレット&スマホと格闘すること、40~50分。

なんとか手続きを完了させ、相方のスマホにもチャージすることができた。

時刻は6時をいくらか過ぎたあたり。

 

夕食の予約時刻まで、1時間近くあるし

明日までに使わないと期限切れになるから、いまのうちに買いに行こうか。

駅前ホテルの利点を生かし、雨上がりの鎌倉駅前へと繰りだした。

目指すは銘菓「かまくらカスター」の洋菓子店、鎌倉ニュージャーマン!

祝日でも19時までは、営業しているはず。

しかし、角を曲がって店先に近づくと・・なかは真っ暗。

新型コロナがらみで、18時閉店に改まっていたのだ。

ならばと鎌倉有数のお土産ストリート・小町通に足を向けたものの

こちらも、昼間の賑わいが嘘だったように9割方が店じまい。

シャッター通りかよ!?」とつっこみたくなるほどの、人気なさだった。

そっかー、温泉街とかと違って日帰りの観光客しか相手にしないもんな。

ーーなどなど感心している間にも、刻々と時は過ぎてゆく。

 

この分では、今日中にクーポンを使うのはムリっぽい。

せめて、土産物のラインナップだけでも予習しておこうか。

唯一、18時過ぎても明々と灯がともる鎌倉駅ビル(CIAL鎌倉)へと向かう。

有難いことに、どの店も20時閉店と余裕たっぷり。

しかし、クーポン利用可能な店は〈加盟店〉に限られている。

実はその〈加盟店〉が、えらく限られているのだ。

やっぱ、明日出直すしかないか・・

諦め気味でホテルに戻ろうとしたそのとき、目の前にガラス戸?に

ちょっと不気味な「かながわ旅割」のステッカーを発見!

数少ない〈加盟店〉のひとつ、「鎌倉まめや」の支店が営業していたのだ。

(小町通にある本店は18時閉店だったので、すっかり諦めていた)

 

やった!

喜び勇んでスマホを取り出し、アプリを起動・・・・できるわけない。

なにせ、Wifiフリーの環境でしかインターネットに接続できない

Simフリースマホ」なのだから。

ん? てことは、俺のスマホじゃクーポン使えないのでは?

ダメ元で接続先を探してみると・・つながった!

これはもう、使える時に使わないと無駄になりかねない。

善は急げとばかり、スマホのクーポン決済を利用。

「まめや」で2000円+αの買物を済ませることができた。

後で店員さんに訊いたところ、二階の喫茶店Wifiフリーとのこと。

さすがは駅ビル内、でもって今回も悪運強し。

豆菓子の入った袋をぶら下げ、ホテルへと帰還。

 

予約した時刻に、同じビルの地下一階にある中華料理店に降りて

そこで中華のコース料理に舌鼓を打つ。

このところ、宿泊といえば海辺の温泉旅館&ホテルばかり。

料理も魚中心の和食か、ビュッフェ料理が続いていた。

そこで今回は温泉をパス、代わりに中華の夕食をチョイスした次第。

手頃な価格だったので、フカヒレや北京ダックといった高級料理ではなかったが

魚介や野菜を中心とした炒め物は、どれも新鮮で満足できるものだった。

特に地元野菜の美味しさには、ちょっとビックリ。

こんなに美味しいなら、年に一回ぐらい泊ってもいいね。

・・と、相方もゴキゲンな中華ディナーだった。

 

明日の朝食は、同じレストランで中華粥セットをいただける。

ちょっと気が早いけど、今から楽しみだ。

 

           夜の鎌倉を散策。気分は「プチ・ロコ」

    部屋のベランダから若宮大路を眺める。このあと、軽く一杯。

 

その後、夜の鎌倉周辺をぶらぶらお散歩。

いつも日帰りで訪れていたから、こんな時間に見て回るのはとても新鮮だった。

鎌倉在住の人は、こんな夜を過ごしているんだな~

あ、ますます、「海街ダイアリー』を読み返したくなってきた。

※現在、再読中。"臨場感"ハンパなし!

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレの花咲く遊歩道 鎌倉ふたり旅 2022.4.17-18 1日目(3) 瑞泉寺~鎌倉宮🚌鎌倉駅~ホテル鎌倉mori

2022年4月17日(日)KIBIYA Bakery~報国寺~杉本寺~瑞泉寺鎌倉宮⇒ホテル

  スミレの花の美しさに、初めて気づく(スマホのほうが発色いいんだよな・・) 

 

受付で拝観料(200円)を払い、いよいよ瑞泉寺のなかへ。

と、参道の左手に広がる緑地(庭園?)が

なぜか青く染まっていることに気づく。

誘われるままそちらに向かう別れる遊歩道に足を踏み入れると

足元一面にスミレの花が、今を盛りと咲き誇っていた。

ちょっと,こっち!

気づかずに参道を歩いてゆく相方を呼び止め

清楚なスミレ庭園?を、一緒に散策する。

 

          雰囲気だけでいいから、伝われ~~

 

鎌倉には〈季節の花々〉で有名な寺が多いものの

毎年盛りの時期が違うため、なかなか"見ごろ"に出逢えるものではない。

今回も、カレンダー通りなら咲き誇っているはずのカイドウの花は散っていて

残念ながら堪能することができなかった。

そういう意味では、今回のスミレは、まさにベストタイミング。

正直、これを観れただけでも、瑞泉寺に来た甲斐はあった。

ーーと満足できるほど、記憶に残る美しさだった。

 

可憐なスミレたちに後ろ髪を引かれながら、瑞泉寺本堂を目指す。

磨り減った石段がいい味を出していた男坂を、よっこらしょと登り詰め

山門をくぐった先が、梅・桜・モミジなど季節ごとの色どりで名高い本堂前だ。

相方いわく、40年前に訪れた時は桜の時期で

その時撮った写真を引き伸ばしたものがアルバムに残っている、とのこと。

・・そんなこと、あったっけ?

 

     本堂前。40年前に訪れたときは、左手の桜が咲いていたらしい。

         一面の緑のなか、ツツジの朱が目に沁みる

 

それより、昔訪れたときは、本堂の縁側に座って眺めていたはずの庭園が

脇の通路から見るよう改まっていたことが、残念でならない。

TV番組のなかで、養老先生が「子供の頃は遊び場だった」と語っていた

ダイナミックな石の庭を、もっとじっくり鑑賞したかったのだ。

 

  庭園を堪能できなかったのは、とても残念。本堂に入れる日もあるのかな?

 

前庭?で遭遇したスミレ以外、これといった花には会えなかった瑞泉寺だが

我らを含めても5~6人しかいない、半貸し切り状態での参拝はとても気分が良い。

例によってマスクを外しては、思う存分"緑の息吹"を味わうことができた。

 

新緑と鳥の声(特にウグイス)を愉しみながら、3つの寺を巡り終え

そろそろ充分かな・・という気分になってきた。

バス通りを避け、静かな住宅街が連なる脇道をぶらぶら戻り

なぜか「鬼滅の刃グッズ」が充実していた鎌倉宮に、ちょっと立ち寄る。

ちょうどその門前に、鎌倉駅行バスの始発停留所を見つけ

同じ道を歩いて戻るのもつまらないので、乗っていくことにした。

 

ーーそれにしても、このバス停。どこかで見たことがあるぞ。

前回(40年前)はバスに乗ってないから、その時の記憶じゃないし・・

案内板に記された「二階堂」という地名が目に入ったのは、そのときだった。

あ・・『海街ダイアリー』の中に、同じ地名が登場してた!

 

10年ほどまえ、まだ新人だった広瀬すずが抜擢されて映画にもなった

吉田秋生の名作『海街ダイアリー』。

大好きなマンガのひとつで、これまで何度も読み返しており

ここ鎌倉が舞台だという事実も、頭に入っていた。

実際、翌日に予定した「江ノ電めぐり」でも

すずたち〔ヒロインの四姉妹〕の家がある(という設定の)極楽寺

何度も登場する由比ガ浜を、訊ねてみようと企んでいたのだ。

なのになぜか、すずたちがサッカー仲間の裕也が暮らす二階堂を訪ねたとき

彼女らが乗ったバスの停留所が"ここ"だったことを、忘れてたよ~。

・・とか一方的に書き連ねても、原作マンガを読んだことがい人には

なに言ってるのか、チンプンカンプンなんだろうな。

ま、興味を持ったなら、騙されたと思って読んでほしい。

 

ともあれ、今回の旅を終えたら、また『海街ダイアリー』を読み返そう。

すでに7~8回は読み通しているけれど

豊かな緑やウグイスの歌声を自分の五感で受け止めたあとなら

きっと新たな"発見"や"気づき"をゲットできるはずだ。

いままで「旅」と「再読」を意図的に重ねたことはなかったけれど

この〈実体験+読書〉の試みは、意外と楽しいかもしれない。

ーーてなことを、ポッポツと降り始めた雨の下。

折り畳みの傘を広げ、鎌倉宮バス停のベンチに座りながら、思い巡らすのだった。

 

その後、折よく到来したバスに乗り込むと、10分足らずで鎌倉駅に到着。

徐々に雨脚を強めるなか、荷物を預けた駅前ホテルへと急ぐ。

時刻は16時を少し回ったあたり。

天気も崩れてきたことだし、夕食の時間まで部屋でのんびりしていようか。

そう言い交わしながら、3階にあるホテル受付でチェックイン。

 

ワクチン三回接種証のコピーと、神奈川在住の確認を終えたものの

その後にも、少々面倒な手続きが残っていた。

実は、2日前の時点で

今回予約したホテルにも「神奈川県民割」が適用された、という事実が判明。

20%のキャンセル料を払っても、クーポン(買物券)分がプラスになるため

急遽同じホテルでキャンセル+再予約を決行。

ホテルのフロンテで、クーポン(2000円✖2人分)を手渡されたのだ。

 

――ところが、このお買物券(正式名は『かながわ旅割』)。

メチャクチャ融通が利かず、使いこなすのが大変な〈難物〉だった。

少なくとも、スマホを自在に操れない中高年世代には

不親切極まりない、《ザ・お役所仕事》に他ならなかったのだ。

そんなわけで、クーポン取得&使用に至る苦闘の記録は、次回ってことに。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鎌倉散策」の秘訣・・大通りを避け、脇道を歩こう  鎌倉ふたり旅 2022.4.17-18 1日目(2) 報国寺~杉本寺~瑞泉寺

2022年4月17日(日) 鎌倉駅~キビヤベーカリー~報国寺~杉本寺~瑞泉寺

          報国寺に咲く、可憐な花。名前は・・・??

 

「鎌倉随一」と称される竹庭で名高い報国寺だが

山門と本殿の間に広がる庭園(枯山水?)も、なかなかの美しさ。

残念ながら桜は散っていたものの

アヤメの仲間のヒメシャガ?などは今が盛り。

すっかり色濃くなった緑の木々の下で

白や紫の清楚な花を咲かせていた。

 

     本堂へと続く庭園。鳥の声もあって、思いのほか気持ちよかった。

       たぶんヒメシャガ。ちょうどアヤメの仲間が、花盛りだった。

 

思ったより参拝者の数も少なく、多い時で十人前後。

それぞれの好きなペースで散策できたのも、嬉しかった。

 

緩い登り坂になっている庭の道を進み

本殿左側に設置された、竹林への入場口に向かう。

ここから先は、有料(300円)区間だ。

小銭を握りしめ、受付の前へ。

と、正面のガラス窓に「竹林養生中」という但し書きがペタリ。

・・・あ、そうか。

毎年この時期はタケノコが採れる、いわゆる"竹の秋"。

そのため竹の栄養分が不足し、黄色く色あせてくるのだった。

 

    迷った末、竹庭鑑賞は次回(半年後)に。また旅の予定が入ってしまった。

 

うーーーん。

せっかくの「絶景」だけに

できれば孟宗竹ならではの緑が際立つ旬の時期に観たかった。

今回は本殿前の庭園が充分楽しめたから

敢えてパスして、紅葉の頃に再訪してみるか。

ひとり勝手に半年後の再訪を決め、報国寺を後にする。

 

    最後に、庭をもうひと巡り。秋はどんな姿を見せてくれるかな・・

 

さて、浮いた?300円をどうしよう。

そういえば、ご近所の杉本寺の拝観料が同じ額だったような・・

金沢街道を200メートルほど戻り

白い幟が左右に並び立つ長い石段の登り口へ。

天平六年(734)に創建されたという

実に1500年近い歴史を誇る、鎌倉最古の霊場・杉本寺だ。

 

       金沢街道から山門を仰ぐ。"見られる演出"が心憎い。

 

仁王門の手前で入山料300円を払い

立ち入り禁止の苔むした石段を、しみじみと眺める。

ぐるっと坂道を登って、藁ぶき屋根の本堂前へ。

十数本もの白い幟が本堂を取り巻ように立ち並ぶ演出は、なかなか見事。

すっぽり深い緑に包まれた境内は、山奥のような雰囲気だ。

                                           ここからは有料区間

   鎌倉初期の仏師・快慶作の仁王像。その割には、ややショボイ気が・・

   立ち入り禁止の「苔石段」。これを美しいと感じるのは日本人だけらしい。

 

せっかくなので、お詣りも。

ご本尊(十一面観音らいしが、よく見えない)に手を合わせる。

札所に並んだ品々の中から、相方が「ランドセルのお守り」を発見。

この春、小学生になった孫息子(二人)に、黒バージョンをひとつずつ買い求めた。

 

      杉本寺本堂。藁ぶき屋根と白い幟が、いい味出してる。

          ここにもヒメシャガと・・・なんだっけ?

 

それにしても、先ほどの報国寺より、さらに鳥の密度が濃くなった気がする。

なかでも、早くも繁殖期に入っているのだろう

絵に描いたような?な、「ホ~~~ホケキョ」というウグイスの声は

今回の鎌倉旅行の《BGM?》に選定したくなるほど、印象的で魅力的だった。

ほかにも、閑静な住宅街の真ん中で、複雑な歌を奏でる小鳥

ツグミ・・の仲間か)がいたりと、"さえずり運"に恵まれた二日間だ。

 

          名もなき少女像?にも、思わず合掌

 

再び長い石段を下りて、多くの車が行き交う金沢街道に戻る。

このあたりで、徐々に〈鎌倉の歩き方〉が判って来た。

カーナビで表示されるような幹線道路を避け、一本ずれた脇道を選べばいいのだ!

たったそれだけで、静けさと心地よさに満ちた"新緑散歩"を愉しめるのだから

 

てなわけで、可能な限り早く金沢街道から離れるべく

鎌倉女子大(分校)の角を北へ向かう細い道へ足を踏み入れる。

・・と、たちまち車の姿は激減。

緑の木立に囲まれた、極上の散歩道へと変貌する。

あたりに人の姿もないことを確認し、マスクを取って深呼吸。

鼻孔に入ってくる木々の匂い、花の香りを存分に味わう。

ーー極楽、極楽。

滅多にできなくなったおかげで

"深呼吸できる幸せ"が、たまらなく愛しい。

 

     新スキル「脇道歩き」を習得! 鎌倉散歩が10倍楽しくなる。

 

京都を旅したときにも痛感したけど

「旅先ならではの匂い」って、ホントに重要だと思う。

マドレーヌの香りがきっかけで幼少期を思い出す名作じゃないけど

匂いと記憶を繋ぐ糸は、ほかの何よりも強い。

だから旅に出ると、辺りを見回してからマスクを外し

思いっきり深呼吸するのが、すっかり習慣になってしまった。

・・おかげで今回も、1年のこの時にしか嗅ぎ取れない鎌倉の〈匂い〉を

しっかりと、記憶に焼き付けることができた。

 

おっと、散歩道と一緒に話も脇に逸れてしまったな。

報国寺から杉本寺を経て、次の"花めぐり"の三つめは

四季を通じて花が絶えない、と言われる瑞泉寺だ。

実は、40年ほど前にも訪れたことがある。

そのときは、寺の右手に始まる登山道?から明月院の裏手に続く

天園ハイキングコースを歩いたものだ。

ゴール地点に立ち並んでいたぶ天狗像たちの姿は、いまもしっかり覚えている。

・・いや、もうトシだから、そんなムチャはしないけどね。

 

それよりも、瑞泉寺といえば、養老孟司先生のお住まいが近くにあると

ここ数年NHK-BSで放送しているドキュメンタリー番組で知った。

なので、どこか既視感のある道や風景に出会うたび

「ひょっとして養老先生が歩いた場所では?」などと、興奮してみたり。

この"ミーハー体質"、きつと死ぬまで治らないんだろうな。

 

そうこうするうちに、われらが散歩道(脇道)は

鎌倉宮永福寺跡をはるか右手に臨みつつ

二階堂の奥にひかえる瑞泉寺の門前へ。

・・ああ、覚えている。確かに来たことあるぞ。

それにしても、40年前とまるっきり変わってないのが、凄い。

拝観受付小屋のたたずまいも、右手の斜面に刻まれたハイキングコースも

見事なまでに瓜二つだ(っていうのも変かな)。

 

           この道の先に、40年前と変わらぬ瑞泉寺が・・

 

ところが、拝観料を払い本堂へと歩き出した我らの前(厳密には右手だが)に

初めて目にする"素敵な光景"が飛び込んできたのだった。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日帰り」と「一泊二日」は、まったく違う旅だった。 鎌倉ふたり旅 2022.4.17-18 1日目(1) 電車で鎌倉駅~KIBIYA BAKERY~報国寺

2022年4月17日(日) 鎌倉駅~ホテル~キビヤベーカリー~報国寺

                                    これまでどおり、コロナ対策はバッチリ!

 

ワクチン接種証明書(3回終了・コピー)を携え

2カ月ぶりのお泊り旅行に出発した。

今回の目的地は、電車に乗れば1時間少々で着いてしまう古都・鎌倉。

これまで十指に余る回数訪れているが、ことごとく日帰り。

海外に出るのがいまだ厳しい状況が続くなか

大荷物を引きずってウロウロするのも面倒になってきた今日この頃。

試しに"ご近所"の駅前ホテルに一泊してみることに。

 

午前10時過ぎ。

曇りがちの空の下、小さなスーツケースを転がし最寄りの駅へ。

中央林間で小田急江ノ島線に乗り換え、藤沢駅からはJRで大船を経て鎌倉駅まで。

乗り換えこそ多いものの、最も早く、おまけに一番安いルートだ。

大船駅を出る頃、ようやく車窓に緑が広がり「旅っぽくなった」と思う間もなく

11時半前には宿泊地の鎌倉駅に到着してしまった。

 

ちょっと早すぎたかな・・と思いつつも、徒歩一分の駅前ホテルへ直行。

ーー「もちろんです」と快く荷物を預かってもらえた。

いよいよここからが、鎌倉観光の始まりだ。

とはいえ、日曜日とあって駅や小町通、若宮大路などは、観光客の姿でいっぱい。

予想していた通り、人気の定番観光地や江ノ電の旅は避けた方がよさそうだ。

 

ともあれまずは、腹ごしらえ。

お店でランチを食べる時間がもったいないので、軽くとパンで済ませることに。

観光案内所でマップをビックアップ。

そのまま地下道を抜けて、西口商店街・御成通りを南下する。

      観光客でごった返す小町通りよりも、こっちの方が好き。

 

こじゃれた店を眺めながら5~6分も歩き

細い路地を左にちょっと入ると、丸々太った猫の看板が迎えてくれた。

50年以上地元で愛され続けるパン屋さん、KIBIYA BAKERYだ。

 

              ギョロ目の猫が目印。

               入口脇にも、もう一匹。

 

気が付けば12時を回っていたが、店の前には先客が二人ほど並んでいた。

コロナ対策もあり、一度に2人(orひと組)しか入れないらしい。

ちょっと覗いてみると確かに店内は狭く、自由に動けるスペースは一本の通路のみ。

四人も入れば身動きも取れなくなりそうだった。

それでもテイクアウトだけなので、5分も待たずに順番が回ってきた。

様々なパンと、香ばしい匂いが立ち込める店内に足を踏み入れ

人気商品「くるみパン」「はちみつカンパーニュ」など、定番をいくつか購入する。

 

       迷ったものの、待つ人もいるので結局「定番」づくしに・・

     「土日限定」の四文字に負け、右手の「ブリオッシュ」も購入。

 

その後、しばらくさ迷った挙句、若宮通り沿いのベンチでいただくことに。

(2階でカフェも営業していることは、後になって気づいた)

んで、感想。

「自家製酵母、無農薬国産小麦を使った石臼焼きの全粒粉パン」と謳うだけあって

小麦と酵母の香りが口いっぱいに広がる。

中身もぎゅ~ッと詰まっていて、重厚かつ濃厚な食べ応え。

余計な香辛料や砂糖・調味料は最小限に抑えられ、まさに「素材で勝負」。

"噛めば噛むほどおいしくなる"という、スグレものだ。

密度が高い分、ボリュームもハンパなく

ふたりで半分こにした、一個目の「くるみパン」だけで

ほぼ空腹は満たされてしまった。

せっかくだから、と買った土日限定のブリオッシュは楽勝だったが

3つ目の「さくらアンパン」で、はやくも満腹状態。

ラスト「はちみつカンパーニュ」は、ひと口ずつ味見しただけで精いっぱい。

あえなく〈非常食〉と命名し、デイバッグの中にしまいこんだ。

 

さあ。これから夕方まで、どこでなにをしようかな・・。

日帰りと違い、一泊できると思うと、なんだかすごい気分が楽だ。

"帰りの時間"を考えなくていい、というのは、こんなにも違うものなのだな。

変なことに感心しつつ、多くの車と観光客が行き交う若宮大路を眺める。

 

ーーうん。やっぱり、今日は「ローカル」を目指そう。

混雑必至の交通機関には頼らず、徒歩圏でカバーできるお寺巡りだ。

途中で疲れたら、そこからバスにでも乗って戻ればいい。

いくつか候補に挙げておいたコースのうち

庭の花が楽しめそうな、金沢街道方面の寺社を訪ねることにした。

 

         マスク姿の狛犬に見守られ、鶴岡八幡宮

   葉桜の段葛をゆく。来年こそは満開時に・・でも観光客でいっぱいだよな~

      ちなみに今回利用したホテル。4階右端の部屋に泊まった。

 

そのまま若宮大路を北上、鶴岡八幡宮の門前を東に折れて金沢街道に入る。

日曜日だけあって、路上には延々自家用車の列。

・・これじゃ、のんびり鎌倉を愉しむことはできないよな。

自分たちがさんざっぱら繰り返して来た"ドライブ観光"の慌ただしさを

歩道からの"上から目線で"呟いてしまう。

それにしても、このあたりの「雪ノ下」という地名はオシャレだ。

一瞬、自分の住所に「雪ノ下〇丁目」と記入することを夢想してしまったよ。

他にも、いかにも由緒ありそうな地名がそこらじゅうに残っているのも

(小町・扇ケ谷・由比ガ浜・西御門・材木座etc)

鎌倉の隠れた魅力のひとつといえそうだ。

 

そうこうするうち、車の列が途切れたと思ったら

鎌倉でもっとも古い(という)寺・杉本寺の前を通り過ぎ

最初の目的地・報国寺の入口に、たどり着いていた。

そして車道を離れ、寺へと向かう分かれ道に入ったとたん・・

あんなに喧しかった車のエンジン音がすっと消え

なんともいえない"森の気配"が、あたりを支配し始める。

しかも、その静けさを引き立てるように

ホーーーッ、ホケキョ。

瑞々しくも華やかな、ウグイスのさえずりが。

 

多くの車が行き交う道を、ちょっと離れただけで

こんなにも豊かで鮮やかな自然に、出逢うことができる。

・・だからみんな、鎌倉が大好きなんだよなぁ。

 

この日初めて、心底「鎌倉に来てよかった」と噛み締めつつ

緑の木々に包まれた、報国寺へと続く細道を、ゆっくり歩いてゆく。

 

                   "花めぐり"その1――報国寺の門が見えてきた。

 

ではでは、またね。

逃避ではない。充電である。 『ハクメイとミコチ』⑩  樫木拓人 周回遅れのマンガRock

いつもどおり、既刊の1~9巻を読み返してから

最新(といっても発売は昨年末)の10巻を、じっくり堪能する。

勝手に「殿堂入り」させた作品に対する、いつもどおりのアプローチだ。

気に入ったマンガは、何度読んでも飽きるということがない。

 

まして、飛び込むニュースがこうもきな臭く、リラックスには程遠い状況のなか

ドキュメンタリーはもちろん、歴史・犯罪・サスペンスなど

少しでも現実とリンクする書物を開くと

すぐさま"かの地の戦禍"が、脳裡でムクッと身を起こすのだから、たまらない。

 

そういうわけで、コロポックルらしきふたりの少女?が

多彩な隣人や獣人(昆虫人?)たちと繰り広げる

"桃源郷"としか例えようのないファンタジー・ワールドは

いつにもまして深い安らぎと慰めを、ヘッポコなうたたにもたらしてくれるのだ。

 

さて、最新の10巻で「メインキャラ」的役割を果たすのは

主人公(ヒロイン)コンビのかたわれ、ハクメイだ。

オンチだけど歌うのが好きな彼女の"雨中特訓"にはじまり

新たな世界(大工組合)との出会い

その奮闘をねぎらうパートナー、ミコチの"温泉招待"。

極めつけは、隠れた重要アイテム「種帽子」をきっかけに語り起こされる

若きハクメイの"愛おしい"旅立ちエピソードまで。

連作読み切りの強みを十二分に活かした

脇道&寄り道だらけの、融通無碍な物語世界が、どこまでも心地よく拡がってゆく。

 

くわえて今巻では、初登場以来大ファンになったジャダさんも大活躍。

まるっきり色っぽくない「温泉回」では

安心して 同類がここにいるよ

一緒に お風呂で おっかなびっくりお喋りしましょ

と、人見知りの研究オタク・センにやさしく寄り添う姿に、胸を熱くさせたり。

港町アラビへの一人旅では、荒っぽい人々におっかなびっくりしながら

それでも『苦手な町だったけど いい人に会えたよ』と

全身をアラビ土産で飾ってほんわり微笑む姿が、たまらない。

 

さらに、初登場時には、不愛想な言動ばかりだった研究オタク・センが

少々強引な友人たちのサポートのおかげで、少しずつ心を開き

素直な感想を発したり笑顔を浮かべる様子に、こちらまでニンマリ。

 

そんなこんなで、ありがたいことに

どうやら当分の間は、この素敵な物語は続いてくれそうだ。

いまはただ、いつの日か来るだろう「お父様」とハクメイとの再会を期待しつつ

1年後に訪れる第11巻発売日を、じっと待つことにしよう。

 

それにしても、第一巻からさりげなく描かれていた

主人公ふたりの「帽子」に、こんなに深い意味があったとは・・

各話のラストに紹介されるコラム『足下の歩き方』からも漂ってくる

緻密な設定と裏エピソードの多彩さに、思わず細い目を見張るのだった。

 

ではでは、またね。