こんなときだから"ほっこり"がうれしい 『ほろほろおぼろ豆腐(居酒屋ぜんやシリーズ第九集)』坂井希久子 周回遅れの文庫Rock

いつ来るのか分からない夜明けを、ただひたすら待ちつづける・・

そんな、心身共に息詰まるような日々を耐えている

すべての人(自分も含む)にオススメしたい、物語のひとつ。

 

ときは江戸時代中~後期。(たぶん一八世紀末あたり)

神田花房町で小さな居酒屋「ぜんや」を営む、若き未亡人お妙。

彼女に心を寄せる、鶯指南で生計を立てる旗本の次男坊・林只次郎。

両者を中心に展開する、〈グルメ&サスペンス時代小説)といったところだ。

すでに九冊目まで出版されているが

全体を貫く「背骨」は、次第に近づいていくふたりの〈恋愛話〉と

お妙の亡き夫(+父親)の死をめぐる〈謎とき〉だろう。

 

しかし、ひとまずそれは置いといて・・

と言いたくるなる本書の魅力こそ

主人公・お妙が、季節の旬の食材を自在に使って生み出す、料理の数々である。

必ずしも、こまごまとしたレシピや手順が描かれているわけではない。

なのに、その食材を食べた経験がある人であれば

おそらく少なからぬ方々が、彼女の提供する一皿一皿を舌の上に再現し

思わずつばを飲み込むことになるはずだ。

 

もちろん、夫&父親を亡き者にした理由と黒幕を追求する過程で

しばしば血なまぐさい事態が勃発、不安と緊張が行間に漂うときもある。

たとえば本書(第九集)では、お妙の父親が殺された背景に

新しい価値観の台頭を許さない既得権益者たちの存在が匂わされた。

このあたりは、"いまどきの日本とまるっきり一緒じゃん"。

などと、ため息をつきつき、ページをめくっていたものだった。

 

とはいえ、物語全体の〈通奏低音〉となって響くのは

喧嘩でも殺人でもお家騒動でもなく

素朴ながらも工夫を凝らされた手料理の"ほっとする美味しさ"。

そして、料理と鶯(!)を通じて巡り遭った人々と織りなす"心の交流"だ。

 

だからこそ、誰もが底知れぬ不安に追い立てられ

日を追うごとにストレスばかりが溜まり続ける、いまこのとき。

すうっと読者のなかに滑り込み

ほっこり温めてくれる「居酒屋ぜんや」の物語を味わい

心の手足をうーんと伸ばしてみることを、けっこうマジに提案するのであーる。

 

ちなみに本シリーズは、相方の母親(八〇代)も大好きな作品のひとつ。

読了した後は彼女の元に送付し

ふたりぶん楽しんでもらうことにしている。

(だからここまでの八冊の内容は、ぼんやりとしか覚えていない。

 でも、そのゆるーい感じが、ちょうどいい塩梅だったりして)

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多数決から「ホンモノ」は生まれない 本日の"なんだかなぁ"

年末年始に撮り溜めたスポーツ中継番組も、ようやくひと段落。

これまた集中していた話題の映画は後回しにして

今月スタートしたアニメ番組のチェックを、始めたところだ。

ここ数年やたらと本数が増えたゆえ

初回放送分に限っても、いまだ4分のⅠ程度しか鑑賞できていないが

なんだよ、《劣化コピー作品》ばっかじゃん。

――というのが、正直な感想だ。

 

 

相変わらず幅を利かせる「異世界もの」は言うまでもなく

種目だけ入れ替えたとしか思えない「スポーツもの」

各クールごとに増殖し続ける「バンド」「アイドル」「ステージ」ネタ

いよいよ鉄板化した「美少年(for腐女子)」ジャンル

これまたお約束の「美少女(変身)バトル」まで。

いずれもひとつふたつ、〈設定〉などに変化を加えてはいるものの

肝心の中味に関しては、配役・構造・ストーリー展開のすべてにおいて

以前人気を博した《元祖》のパターンをほぼ"丸なぞり"しただけの

いわゆる《劣化コピー作品》に過ぎないシロモノばかりという

残念な状況が、いっそう激化していることが確認された、

 

こうした《劣化コピー作品》パンデミックの根底にあるのは

言うまでもなく、「大衆受け」と「利益」を不動の目標に挙げる

スポンサー(視聴率と販売促進を目論む局プロデューサー&代理店)の

身も蓋もない〈商売第一主義〉である。

また柳の下のドジョウか・・と、文句を言われようが

実際にブームを起こし儲けを獲得した作品(ジャンル)のベースをまるっとパクリ

少し設定やキャラをいじっただけで再利用するのは

極めてラクチン&はずれが少ない方法だからね。

 

かくして、偉い大人たちが多数決を武器に押し通す、理屈と計算に圧し潰され

ひとりのクリエーターが生み出した、"独創的だったはずの作品"たちは

〈ドキドキのトゲ〉と〈ワクワクの輝き〉を、ことごとく排除され

劣化コピー》の鋳型に流し込まれては

私たちに何の刺激も与えることなく、使い捨てられていく。

 

もちろん、原作が放つドキドキとワクワクを、そっくりそのまま

いや、それどころか、さらにバーストアップさせたような

キレッキレのアニメたちだって、ラインナップに名乗り出てくれている。

とはいえ、あくまでそれは、少数派に過ぎない。

おそらく7割を超える数の「作品」たちが

〔これなら売れる〕のパターンに無理矢理姿かたちを"整形"され

原作が放っていた刺激と輝きを、奪われてしまうのだ。

※実際の割合はいくらか低めだった。

 それでも半数前後は〈お約束の型〉に落とし込まれ、新鮮さを失っていた。

 

事実、そんな〔商売上手な人たち〕のおかげで、

「これは面白い!」と原作のマンガでは感動した作品が

アニメ版を見た瞬間――なんだよ、これ!

と、思わず天を仰いだことが、いったい何回あったことだろうか。

 

もちろん、コミケ同人活動など

オリジナルを我流にアレンジすることで(当然、エロ方面もアリ)

自分の好きな世界をどんどん広げていきたいという気持ちも充分に理解できる。

しかし、それは本来、個人的(同人的)スケールで楽しめば充分なのではないか。

少なくとも、全国ネットのテレビ番組に

《原作をつまらなくしてでも金儲けを優先する劣化コピー》を垂れ流し

多少の利益を手にして「計算通り!」と悦に入る〈頭のいい大人〉たちが

カッコいいとは、とうてい思えないのだ。

 

書いてるうちに、冒頭のタイトルから離れてしまったので

最後に、やや強引なひとことを。

 

この国では、何かというと「多数決がエライ」みたいに考えられているけど

少なくとも「創作」の世界において、それは真実から遥かに遠い。

ドキドキやワクワクのように、私たちの心をストレートに揺さぶる表現は

クリエイター個人のなかからしか、生まれ得ない。

たとえ熟練のプロが何人集まり、議論を繰り返したとしても

合議制による多数決から正真正銘の〈面白い!〉が誕生することは

決してない、と信じている。

ナウシカ」「攻殻」「エヴァ」「きみの名は」・・

クリエイター個人のエゴからではなく

多数決によって世に出た〔真の名作〕があったら、ぜひ教えていただきたい。

 

あ、そうだ。

そもそもこんな文句を垂れるきっかけになった「番組」に触れることを

きれいさっぱり忘れていた。

不平不満ついでに、こちらの話題もやっちまおう。

こちとらの怒りにを火をつけたのは

ここ数年、大晦日の夜に放送されている

Fate Project 大晦日TVスペシャル』だった。

年々、新作映像の紹介部分が減少しつつあったのだが

とりわけ今回は、拍車がかかっていた。

ディテールを語っても興味のない人には伝わらないと思うので

ひとことで済ますことにするが、要するに

――なにこれ? テレショップじゃん!? ってこと。

 

どこを見ても、TYPE-NOONが作った《自家製劣化コピー作品》の宣伝ばっかし。

この路線の無限増殖を続けていくだけで、効率よく儲かるのはわかるけどさ。

正直、Fate路線は「ZORO」あたりで打ち止めにしてほしかった。

なにより、自家製コピーに追われている限り

本当の意味での《新作》に出逢えないのが、なによりもツラいのだ。

パソコンゲーム時代の「月姫」「Fate2部作」「魔法使いの夜

のトリプルアタックに心を奪われて以来

次の新作はいつか??? 首を長くして待ち続けているというのに

出てくるのは、どれもチョコチョコッと原作シチュエーションをいじくった

《アレンジ作品》ばかり。

こんな金稼ぎに忙殺されるうちに、製作者の貴重な時間が失われてしまうのは

あまりにも哀しいことだと思うのだが。

幸い? ようやく「月姫」のリメイクが登場するとのこと。

そこに期待するしかないのが、消費者にできる精一杯。

でも望むべきは、堂々と《第4ステージ》を宣言できる完全新作シリーズを!

せめて、ボリューム的に食い足りなかった「魔法使いの夜」の続編を!

切に切に、待望するのであった。

なんとか頼むよ、那須&武内のご両人!!

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

"羊の皮をかぶった狼"ラノベ 『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』宮澤伊織 周回遅れの文庫Rock

あれこれ読み散らかしている間に

アニメ版の放送が始まってしまったので

あわてて〈未読の森〉から救い出し、ページを開いてみた。

題名・表紙・あらすじ・「百合が入ってる」という噂などから

”よくある異世界チート自己実現小説”の仲間なのだろうと、勝手に立てていた予測が

ものすごくいい意味で、裏切られた。

 

久方ぶりに〈ページターニング小説〉の醍醐味を味わい

一気に読み終えた後の素朴な感想は――タイトル冒頭に挙げた言葉、そのまんま。

いかにもラノベっぽい語り口でサクサク進行するストーリーの奥に

半透明のぶっとい背骨が一本通っている・・。

そんな、思いがけない読み応えを感じてしまったのは、私だけだろうか。

 

もともと、ホラー系の小説には、いまひとつ心惹かれず

「怖さ」をアピールされればされるほど、醒めてしまうタチだったのだが

なぜか、ネット上の「ホラー都市伝説」をエピソードの芯に据えたこの小説には

ストンと感情移入でき、空魚・鳥子・小桜それぞれの視点で楽しんでしまった。

いったい、どうしてなのだろうか?

本来であればハナ頭から否定するはずの「裏世界=異世界」の設定に

得体の知れない納得感を抱いてしまった?

主な登場人物が抱える〈心理的な境遇〉に、共感を抱いたせい?

それとも、単に言葉の使い方や心理描写が、好みにピッタリ合ったから?

 

正直なところ、いまだ判然としていない。

ただ、間違いなく断言できるのは

「2巻以降も読まずにはいられない」――ということだ。

幸い、現在のところ5巻まで出版されているらしい。

続編を手に取るのが、いまから楽しみだ。

ひよっとしたら、この作品がきっかけとなって

ホラー系小説に対する苦手意識が解消され

さらにワンステップ、《本の世界》が広がるかもしれないのだから。

 

あと、本書を読んだ後に

録画しておいたアニメ(第1回)も拝見した。

率直な感想は――――微妙。

敢えてキツい言い方を許してもらうと

なんか「フツーの異世界ホラー話」に収まってしまった、みたいな感じ?

小説に感じた、形容しがたい”おののき”が

「悪い怪物(妖怪)に遭遇した、やっつけろ!」という

バトル漫画にありがちな〈判りやすい恐怖〉に翻訳されちゃった、とか。

 

登場人物の心理描写にしても

アニメの〈お約束〉を無条件に取り入れているのでは。

たとえば、ラストで空魚が浮かべる表情。

小説に描かれた彼女の想い(生きてきた道・背負っているもの〉を

しっかり掴み取っているのであれば

あんな簡単に、あけっぴろげな笑顔を見せるわけがない。

それともアニメ制作陣は、原作より大衆受けがいい

『美少女異世界ラブラブ百合ストーリー』を目指していたりして。

だったら、もうなにも言うことはない。

アニメは諦めて、小説を満喫。

勝手に頭の中で《オリジナル作品》を上映するだけだ。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《宝箱》のような街に出逢う カッパドキア&イスタンブールの旅 2019.11.28-12.5 7日目(後編)Ara-kanふたり旅

2019年12月4日〈水〉 イスタンブール市内⇒空港⇒〈成田空港)

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フェリーから臨む 夜のモスク

すきっ腹とへたり気味の足をなだめながら歩くこと

だいたい20分(途中目に止まった店に立ち寄る余力は残っていた)。

目指すケバブ屋があるというエジプシャン・バザール脇の細い道に入ると

小さな間口の店と屋台が、左右にびっしり並んでいた。

ほとんどすべてが、なんらかの布製品を扱う衣類関係の店ばかり。

そして、狭い道を埋め尽くす地元の人・人・人。

昨日、エジプシャン・バザールをひやかしたときには全く気付かなかったが

その脇と裏手を囲むようにして、巨大な問屋街(布&衣類)が広がっていたのだ。

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我らが大好物・問屋街

マップでアタリを付けておいたケバブ屋も

そんな問屋街の中心をなすアーケードの入口に、店を開いていた。

おそらくテイクアウトがメインなのだろう。

調理場を入れてもせいぜい5~6坪ほどの狭い店舗の片隅に

申し訳程度のカウンターと丸椅子が並んでいるだけ。

道路にはみ出したテラス席?を入れても

10人までは座れない、素朴で小さな店だった。

ふたりとも、ケバブバケットで挟んだベーシックなサンドイッチ?を注文。

味付けは塩+ケチャップとシンプルだが、さすがに肉は新鮮だ。

あっという間にたいらげてしまった。

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地元の人気店(ケバブ

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狭~いカウンターで、いただきます

で、せっかく見つけた問屋街。

そのまま衣類の店が延々と連なるアーケードを見て回った。

シャツ、トレーナー、ジャケット、ジーンズ、デイバッグ、スカーフなどなど

どの店も格安を謳っていたものの

残念ながら、お値段自体は日本よりいくぶん高め。

孫たちに似合いそうなTシャツも見つけたが、結局見送ってしまった。

相方は「レースのタオルが安い」と、購入することに。

”まとめて買うからディスカウントできないか”と店主に頼んだが

きっぱりと首を横に振られてしまう。

あくまで地元の人が利用する店だから、底値で提供しているようだった。

結局、当初の予定通りの枚数を買い求め、問屋街を後にした。

 

時刻は、15時半をちょっと過ぎたあたり。

ホテルに迎えの車がくる予定時刻は21時だったから

夕食時間を考慮に入れても、まだ5時間近く自由に動ける計算だった。

それなら最後に、まだ行ったことのない場所を見に行こう!

というわけで、「歩き方」で調べて気になっていた

アジア側の交通の拠点となっている、「カドゥキョイ」を目指すことに。

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一周30分あるかないかの”ミニ山手線”

すっかりお馴染みになったエミノミュふ頭まで歩き

そこからフェリーに乗ってボスポラス海峡をアジア側へと渡ること、およそ30分。

イスタンブールより長い歴史を持つという街・カドゥキョイのふ頭に到着した。

まずは町のシンボルとも言える〈ミニ山手線〉トラムで、ぐるりと一周。

途中、目に入った市場ッぽい賑わいが気になったので

ふ頭前のバスターミナルから、鮮魚などを扱う活気ある市場へ。

さらに奥へ奥へと足を伸ばしていくと・・

なんとも居心地の良さそうな、レストラン&商店街を発見!

先日入った音楽隊付き居酒屋街のような〈観光地モード〉ではなく

明らかに地元在住の人向けの、くつろいだ雰囲気。

――ああ、ここで夕飯を食べたかった!

と、後悔するも、後の祭り。

今夜の送迎を考えると、ここでゆっくりディナーを楽しむのは

ちょっとリスクが高すぎる。

結局、《次回はカドキョイのホテルに泊まろう》と決意するしかなかった。

 

それでも、時間が許す限り、この地元に密着した街を歩き

雰囲気のいいアンティークショップ、チョコレート店、ナッツ店など次々と発見。

それぞれの店で、納得のいく買い物を楽しむことができた。

アンティークショップでは、格安のコースターとアロマキャンドル

チョコレート店は、MELODiという小ぎれいな"街のお菓子屋さん"。

様々なナッツが中に入った粒々チョコの缶入り(手のひら大)が秀逸だった。

〈ナッツがメチャ旨! 2箱購入したが、もっと買っとけば・・と後悔しきり〉

極めつけは、Brezilya KURUKAHVEというナッツ専門店。

おそらく年下だとは思うけれど、見事に禿げ上がった丸々とした店主が

自信たっぷりの笑顔で試食させてくれたナッツが

「ネヴシェヒルの店」と甲乙つけがたいほどの美味しさ!

荷物になりそう・・と思いつつ、合わせて7~800グラムほど買い込んでしまう。

(あの味を思い出すと、またもや涎が・・パブロフドッグ再び)

そして、心に誓ったのだった。

”今後、海外でナッツを買う時は、地元の人々で賑わう専門店を選ぼう!”

(サヨナラを言おうとすると、店主は一冊のノートを取り出して得意げに見せた。

 そこには、「私は日本語を勉強しています」という文字が。

 ホント、トルコの人は日本が大好きなのだ)

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さよならカドキョイ、また来るぞ

最期の最後に、これ以上なく〈居心地のいい街〉を発見。

今回の旅で、最も充実した買い物ができた。

ホクホク気分で、帰りのフェリーに乗り、再びエミノミュふ頭へ。

ここで19時過ぎ。

まだちょっと、余裕がある!

旅を惜しむ気持ちから、反対方向のトラムに飛び乗り

ボスポラス海峡を横断するガラタ橋を、アジア側へと渡った。

(結局ガラタ橋を通った&訪れたのは、この一瞬だけ)

辺りを眺め、余韻に浸る間もなく、ヨーロッパ側へと戻るトラムが入線。

すかさず乗り込み、再度ガラタ橋を渡り、スルタンアフメット駅で下車した。

前もって位置を調べておいたIstanbul Kebab Cafe & Restaurantに入り、夕食をとる。

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ネットで人気のお店だったけど・・

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味と値段は、文句なし

早めの時間だったせいかガラガラの客席と

妙になれなれしい店員の態度にんんん?と思ったものの

ネットでトップクラスの人気店だけあり、味は確か。

値段も手ごろだった。

おまけにスープ(前菜)とパイの蜂蜜漬け(デザート)は、無料サービス。

なるほど、若い旅人たちの評判がいいわけだ。

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往生際悪く、トラムを一枚

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             ああ、帰りたくない・・


ここでお茶を楽しみつつのんびり過ごし、店を出たのは20時半過ぎ。

最後にもいちど大通りのコスメショップで、買い物納め。

ホテルに戻ったのは、集合時間21時の5分前というギリギリぶり。

すでに送迎の車&若者がロビーで待っていたので

すぐさま預けておいた荷物を受け取り、空港へと直行。

残るは、毎度の手続きを済ませるだけ。

イスタンブール0155発ターキッシュエアTK54便に乗り込み

翌日1940成田へと、何事もなく到着したのだった。

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何度でも撮る「朝焼けショット」

尻尾の先までギュッとアンコの詰まったタイヤキのように

ムダなく充実していた、カッパドキアイスタンブール旅2019。

これに味を占め、「3年以内に再訪してカドキョイに滞在しよう」と決意したものの

新型コロナによって、すべての予定をリセットせざるを得なくなるとは・・。

再び、自由に世界を歩きまわれるその日まで

せめて旅の記憶を反芻することで、心を慰めるしかないのだ。

 

てなわけで、今後も懲りずに〔思い出し旅行〕を書き連ねていきたい。

次回は、ちょっと古いけど

2017年1月のローマ&ナポリの旅(7日間)にしようかな。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右手にスルタン、左手にバビロン王 カッパドキア&イスタンブールの旅 2019.11.28-12.5 7日目(前編)Ara-kanふたり旅

2019年12月4日(水)

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キュートなトルコ菓子(買わなかったけど)

盛りだくさんだったトルコの旅も、いよいよ最終日。

この日(正確には翌日)夜半過ぎの便で、サヨナラする予定だ。

あいにく昨日に続いての曇り&小雨模様だったが

まだイスタンブールのごく一部しか、訪れていない。

早めに朝食を済ませ、気合を入れて表通りへ。

 

この日、最初に向かったのは

ホテルから300mほどしか離れていない、できたてほやほやの「遺跡」。

2日前の夜、空港からホテルまで送ってくれたガイドさんが

「近くに穴場があるから、ぜひ寄ってみるといいよ」と教えてくれたところだ。

外見は、全面ガラス張りのギャラリーのよう。

中には受付カウンターがぽつんと設置されており、ほかは空っぽ。

それもそのはず、遺跡の本体は「地下」にあるからだ。

受付の前を通り過ぎ(無料!)、ビルの3階分ほどもある長い階段を降りていくと

足元に広がるのは・・林立する多数の白い柱。

実は、「SEREFIYE CISTERE」と命名された、いわゆる「地下宮殿」。

まだ整備されたばかりのため、現在は入場料を取らずに公開しているという

我らの大好きな〈期間限定の無料博物館〉なのだ。

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貯水施設じゃなくて、地下宮殿

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数百年前の美術品級、とのこと

「タダ」と聞いていたから、さほど期待せずに寄ってみたのだが

予想をはるかに超える荘厳さに、ちょっと感動。

何かとのコラボなのか、歴史ものの絨毯も展示されていて

それがまた、いい味?を出していた。

ローマなどと同様、きっとこの街の至る所に

こういった国宝級の遺跡が埋まっているのだろう。

 

溜め息をつきながら、地下宮殿を後にする。

が、この日の”博物館めぐり”は、スタートしたばかり。

昨日購入した「ミュージアムパス」のモトを取るためにも(セコい!〉

頑張ってあちこち回らねばならないのだ。

てなわけで、ブルーモスクとアヤソフィアを右手に眺めながら

小雨の街を歩くこと、およそ15分。

早くも本日の”ラスボス”、トプカプ宮殿の前へ。

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ようこそ、オスマンの世界へ

さすがはイスタンブールを代表する名所のひとつだけに

朝からかなりの数の観光客が詰めかけていた。

幸い「パス」のおかげでチケット売り場に並ぶ必要はなく、そのまま送迎門を潜る。

で、一歩中に入ると、そこいらじゅうが「オスマン!」。

決してふざけているわけではない。

オスマン朝の支配者の居城として400年の間、政治や文化の中心だった場所なのだ。

謁見の間、スルタンの私室、ハレム、そして宝物館。

400✖250メートルほどの長方形の敷地に

華麗なモザイク模様に彩られた建築物が、ぎゅっと詰まっている。

どこを見ても、素晴らしい幾何学模様に目がクラクラ。

歴史的な価値などは、凄すぎて理解の範囲を越えていた部分も多かったが

壁と天井のモザイクに心を奪われ、写真ばかり撮っていた。

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まずは、ステンドグラス

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もちろん、モザイクだって

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天井も、外せない

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やばい。止まらない・・

そして、数ある建物の中でも、最も多数の観光客でごったがえしていた場所が

財宝や衣装などを集めて展示してあった「宝物館」。

他と違って、ここだけは「撮影禁止」の表示が張り出されており

各部屋に監視員が配置されている、という厳重警備ぶり。

無理もない、ガラス越しとはいえ目と鼻の先に

「スプーン屋のダイヤモンド(49個のダイヤに囲まれた86カラットのダイヤ)」

「世界最大のエメラルド(重さ3キロ)」などが、並んでいるのだから。

それだけに、撮影禁止の注意書きもなんのその。

女性の方々を中心に、係員の監視をすり抜け、スマホで盗み録りする人が続出。

うーん、こりゃ仕方ないよね。

んで、直接拝見した実感は・・(大きすぎて)本物とは思えない。

この一言に尽きてしまうのが、哀しい。

 

てなわけで、2時間近くに及ぶ「モザイク&宝物」のオンパレードで

早くも息切れを覚え始めた、Ara-kanふたり。

しかし、”本日の博物館ツアー”は、まだ終わりじゃない。

そのままヨロヨロと坂道を登り、隣の「イスタンブール考古学博物館」に入場。

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個人的に気に入ったのは、この子たち

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小学校?の課外授業

最初に付属(!)の「古代東方博物館」に入ったが

いきなりエジプト(フォラオ)の棺&臓器ポットに迎えられたり

ヒッタイトの碑文が無造作に置いてあったりと

古代歴史好きには信じられないような豪華展示物の数々に圧倒される。

なかでも、バビロンのイシュタール門の彩色レリーフ

触り放題(要するにただの壁)の状態で展示されていたのには、驚いてしまった。

(もちろん、あのライオン像の感触はしっかり体験)

ほんとにもう、どれだけ山ほど遺跡があるんだ、トルコ!?

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本物のバビロン門

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やはりライオンは別格

この時点で、身も心もかなりヘタってきた。

だが、まだ本館(旧館✚新館)が、丸々残っている。

痛み始めた足をなだめながら

紀元前5世紀から始まる「石棺の森」へと、分け入っていく。

各所に設置されたベンチで休みつつ観て回ったが

アレキサンダー大王の石棺(と伝えられている)のあたりで

・・このへんでやめとこうか。

の気分になってしまい、新館に入る前にギブアップ。

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ザ・エジプトもいっばい

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さすがに飽きてきたかも・・

それでも、向かい側に建つ「装飾タイル美術館」の表示に目が止まり

フラフラと館内へ。

結局、さらに30分ほど歩きまわり

気が済むころには、足の裏がつっぱるような痛みに襲われていた。

(博物館の床は堅い石造りのため、歩くだけでダメージが蓄積されるのだ)

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もういいかな・・、と思えた一枚

――もう、博物館は充分。

同じく疲れた表情の相方とも意見が一致し

ミュージアムパス活用タイム〉は、これにて終了。

時刻も1時半を過ぎ、お腹もペコペコだった。

そういえば、まだシシカバブを食べてなかったよね。

さっそく、スマホのマップを起動。

歩いて行ける範囲にある人気シシカバブ店を調べてみると

初日に訪れたエジプシャンバザールの裏手に一軒、見つかった。

 

よし、お昼はここでシシカバブだ!

1キロ以上北西にあるランチポイントめざし

当然のようにタクシーなどは使わず

疲れた足をはげましつつ、トコトコ歩いていくのだった。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでもアメリカには〈明日〉がある 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 Ⅰ』オリバー・ストーン&ピーター・カズニック 周回遅れの文庫Rock

国史上最悪のパンデミックが怒涛の勢いで進行しているにもかかわらず

対策に奔走するどころか、ゴルフ三昧の日々を送る片手間に

根拠なき投票違反と陰謀説を叫びつづける現職大統領。

そして、明らかに〈自分のことしか考えていない男〉の主張をカケラも疑わず

議事堂占拠というテロ行為に嬉々として馳せ参じる、「ドナルド原理主義者」たち。

《民主主義国家アメリカの終焉》すら実感させる

無惨な光景の数々を目の当たりにして

なお、私は、この国に寄せる〈未来への希望〉を捨て去る気には、なれない。

 

なぜなら、アメリカは

建国以来、『トライ&エラー』(正しくはtrial and error)を実行してきた国だから。

噛み砕いて説明すると、こんな感じか。

結果的にそれが「正しいか」どうかは、まだわからない。

だが、とにかく、《やってみる(チャレンジする)》。

もしそれが、うまく行かなかったら《すぐに過ちを認め》

すかさず《別のやり方でチャレンジする》・・。

 

決定的な現実を目の前に突きつけられない限り

大胆な行動を起こすことができない〈後始末国家〉我らが日本とは

見事なまでに対照的な有りようだ。

だが今回は、〈後始末〉では誤魔化せなくなった祖国ではなく

いまなお世界の命運を(たぶん)握っている、アメリカの話をしたい。

そう。『トライ&エラー』についてだ。

 

 

アメリカは、ときどきとんでもない無茶苦茶をやらかすが

それがダメだと明らかになると、自らの過ちを公表し(これが日本にはない)

可能な限り速やかに、よりマシな(と予想される)別ルートを目指して走り出す。

そうした『トライ&エラー』の繰り返しを

これでもかと暴き出している書物のひとつが

今回取り上げた『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』だ。

※長いので、以下『アメリカ史』で表記させていただく。

 

まず、この本が存在すること自体が、私の確信を強めてくれた。

よくもまあ、こんな暴露本を堂々と出版できたものだ。

もひとつ、よくもまあ、こんな暴露本の出版が認められたものだ。

おまけに著者は、この本をベースにしたドキュメンタリー番組(3本)を制作。

全国ネットで放送してしまった。〔日本でもNHKBSで放送済み〕

どうしてそんなに驚くのとかいえば

本書には「アメリカが決して認めたくない歴史の暗部」が

これでもか!とばかりに、書き連ねられているからだ。

 

たとえば序章。タイトルからして、こう切り込んでくる。

序章 帝国のルーツ――「戦争はあこぎな商売」(15ページ)

なぜ私たちの国は、その数一〇〇ヵ所以上とも言われる軍事基地を世界各地に置いているのか。なぜアメリカ一国だけでほかの国々をすべて合わせたほどの巨額の軍事費を使っているのか。なぜ数千個もの核兵器をいまだに保有し、差し迫った脅威となる国もないままその多くが一触即発の警戒態勢にあるのか。なぜアメリカは先進国のながて最も貧富の差が大きいのか。なぜ先進国のなかでアメリカだけが国民皆保険制度を持たないのか。                          (16-17ページ)

鋭い指摘をしたのは政治学者のサミュエル・ハチントンである。〔中略〕

「西洋が世界の勝利者になったは、西洋の思想、価値観、宗教が優れていたからではなく(他宗教の信徒のうち西洋の宗教に改宗した者はほとんどいなかった)、むしろ組織的な暴力をふるうことに優れていたからである。西洋人はこの事実をよく忘れるが、西洋以外の人々はけっして忘れない」。               (24ページ)

 

こうして序章後半から、「第一章 第一次世界大戦」にかけて

アメリカがフィリピンで、パナマで、ハイチで、キューバで、メキシコで、

さらにWW1のヨーロッパ戦線でやらかした残虐行為の数々が、具体的な史料と共に、

克明に記されている。(化学兵器を進んで使い、多数の企業がドイツに協力していた)

あまり引用し過ぎても、他人(ヒト)のフンドシで相撲を取るばかりなので

具体的にどれほど悪逆非道だったのかは、本書を手に取って確認していただきたい。

 

ただ、個人的に「ええっ、そうだったのかよ!?」とショックを受けたのは

直接ではなくとも〈当事者〉である、第二次大戦・太平洋戦争がらみの記述だった。

たとえば、トルーマン大統領に関する次の一説。

候補者リストを検討した結果、民主党幹部はウォレスに代えてミズーリ州選出の凡庸なハリー・トルーマン上院議員を選んだ。彼らがトルーマンに白羽の矢を立てたのは、その職責に見合う資質を彼に認めたからではなく、毒にも薬にもならぬ彼には敵と言えるほどの敵もおらず、もめごとを起こす心配もないという確信があったからだった。

〔中略〕こうしてトルーマンのキャリア大半と同様、彼の大統領就任は腐敗した党幹部の裏取引によって実現したのだった。            (323-4ページ)

 

若き日の彼(トルーマン)は書いている。「誠実で礼儀正しく、『黒ん坊-ニガー』や中国人でないならみな同じ人間だ。神様は塵から白人を、泥から『黒ん坊-ニガー』をつくり、残りかすから中国人ができたとウィル叔父が言っていた。叔父は中国人と日本人を毛嫌いしている。僕だってそうだ」            (344ページ)

こんな考えの持ち主だから、10万人の庶民を焼き殺した東京大空襲も、広島・長崎あわせて38人の命を奪った原爆攻撃も、眉一つ動かさずに命令できたわけだ。

広島への原爆投下を知ったとき、トルーマンポツダムを離れるアメリカの重巡洋艦オーガスタ上で食事中だった。彼は飛び上がって叫んだ。「これは史上最大の出来事だ!」。しばらくして彼は、広島への原爆投下の発表は自分がした中で「最も心躍る」仕事だったと語った。                    (383ページ)

――一瞬、ドナルド氏の顔を思い浮かべてしまった。

 

引用していたらきりがないので、あと一つだけ。

「広島・長崎に原爆を投下したのは、本土決戦によって失われる多数のアメリカ人将兵たちの命を救うためだった」というのがアメリカの言い分だったが、これも違った。

アメリカが『冷戦』において優位な立場に立つために原爆を利用するつもりであることは、その時点ですでに火を見るより明らかだった。〔中略〕軍事的にはまったく必要性がなかったにもかかわらず、アメリカは日本ののどかで人口の多い広島と長崎に二つの原爆を落としたのである」                 (384ページ)

しかも、38万人の日本人を殺した2発の原爆投下は、冷戦を激させただけ。

島と長崎への原爆投下はソ連に対するイニシアチブにつながったわけでもなかった。

それは、”アメリカはその意思を貫くためならどんな手段をとることも厭わないのだから、血に飢えたアメリカに対する抑止力としてソ連独自の原爆開発を急がねばならない”という確信をスターリンに植えつけただけだった。      〔395ページ)

――まさに「暴力はさらなる暴力しか生み出さない」顛末といえよう。

それにしても、なんと無意味で無惨な大量虐殺だったのか。

どうか、これ以上〈愚か者〉が最高指導者の座に昇り詰めぬよう、祈るばかりだ。

 

ちなみに全体を通じて、固有名詞や横文字の人名が多数列記されているが

日本人の読者(私も含む)は、流し読みで充分。

ただし、たまに某大統領の父親?の名が出てくるので、ぜひ見つけて

「親父の代からアコギなことやってたんだなぁ」などと、楽しんでほしかったり。

もちろん、ひとつのひとつの事実に、確かな裏付け(資料)があり

Qアノンやドナルドのように根拠もなく「フェイクだ」と主張しているわけでもない。

(巻末に並ぶ膨大な原注をご覧あれ)

 

本来、3巻目まで読み通してからアップするつもりだったが

あまりにも中味が濃かったので、我慢できず”フライング”してしまった次第。

アメリカの今ともリンクさせたかったしね)

どうか、ご了承のほどを。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トルコの”ららぽ”で昼ごはん カッパドキア&イスタンブールの旅 2019.11.28-12.5 6日目(後編) Ara-kanふたり旅

2019年12月3日(火) イスタンブール市内

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イスタンブールの”ららぽーと

スマホのマップと車窓の景色をかわりばんこに眺めていると

進行方向右手に、なにやら巨大な建物が見えてきた。

「あ、これだ!」と、次の停車駅メディエキョイで下車。

どことなく新橋駅前を連想させる、ビジネス街へと降り立った。

――なんて、スムーズに進んでいけるわけもなく。

改札を通り抜けた我らの前に、一台の精算機が立ちはだかる。

 

実は今回、イスタンブール市内を移動する際に使ったチケットは

イスタンブルカルトゥ」と呼ばれる、プリペイドカード。

早い話、パスモなどと同じ方式で、あらかじめカードに一定金額をチャージ。

あとは残金がなくなるまで、改札のカード読み取り機に当てて使えばいいヤツだ。

毎回買い求めるジェトン〔トークン〕や回数券に比べ、乗車料金は低く設定。

しかも異なる交通機関を乗り継ぎした場合、料金を割引してくれるスグレモノだった。

んで、トラムとメトロシビュスを乗り継いだ我々にも、同じ特典が受けられるため

いったいどこで割引してくれるんだろう? 。。と。

キョロキョロしながら改札を出た我らの正面に、その精算機が立っていたわけ。

1年以上前のことゆえ、細かい状況は覚えていないが

確か言語で「英語」を選び、後は簡単な指示に従いカードを挿入するだけで

あっさり割引手続きは完了した、はず。

思っきし引っ張った割に腰砕けの〈風呂敷畳み〉だったが

何を言いたかったかというと

イスタンブール市内の移動は「イスタンブルカルトゥ」か断然おススメ!

もひとつ、慌てず落ちついて行動すれば中学英語で充分〈個人旅行〉ができる。

・・ってことぐらいかな。

でも、ホント、海外で困った事態に直面した時でも

あせったりパニクったりせず、冷静なに判断&行動さえ心がけていれば

ほとんどの「問題」はクリアできるのだ。

 

はい。偉そうな自分語りはここまで。

半数近くが、ビジネスマンとビジネスウーマン。

残る半数も地元の人々ばかりで

右を向いても左を見ても観光客らしき姿のないオフィス街の先に

(実際は、工事中らしきエリアが続いてたりして・・再開発地域だったのかも)

目指す巨大ショッピングセンターCevahir(シェヴァヒル)が聳えていた。

「歩き方」によると、

約280の店舗のほか、12面のスクリーンと3DIMAXシアターをもつシネマコンプレックス、屋内遊園地、ボウリング場、DIYのホームセンターなどさまざまな施設が入っている。

と書いてあるけど、要するに”ららぽーと”みたいなとこだと思えば、いいと思う。

そんなわけで、中に入ってみた第一印象は

「なんか・・馴染みのある雰囲気だね」

これで行き交う人々が日本人だったら、近所のショッピングセンターと一緒だ。

初めて来たのに迷うこともなく、地下のフードコートに直行。

地元の人々で賑わうファストフード店で、ケバブのセットを注文した。

大きな横長のプレートにドーンと載っていたので、食べきれるかな?

と心配したが、肉も野菜もおいしく完食してしまった。

やっぱりトルコは、食材そのものの味が濃い!

定番のヨーグルトドリンク・アイランもフレッシュで、大満足。

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意外に(失礼)美味しかったファストフード店

エネルギーを補給した後は、ショッピングセンター内を上下左右に移動し

コスメショップ、スポーツ用品店、雑貨店などを見て回る。

スーパー(おなじみミグロス)もあったので、食料品を中心に色々買い込む。

格安のナッツも見つけて買ってみたけど、ネヴシェヒルの店はもちろん

エジプシャンバザール内のナッツ店にも遠く及ばず。

(正直、日本で買っているミックスナッツの方がマシなほど)

その晩、試しに食べ比べてみた相方もポツリ。

「やっぱり、ナッツは街なかの専門店で買わないと、おいしくないね・・」

〈海外に行ったら、地元の大きなスーパーで菓子類や食料品を大人買い!〉

というのが毎度のパターンだった「おみやげ購入スタイル」が

今回の〔ナッツ事件〕によって、大きな方向転換を迫られたのだった。

・・なんて、いちいち大げさにあげつらうことか。

 

ともあれ、念願のスーパー巡りを済ませると、結構な荷物を抱えていた。

まだ夕方前だったが、いったんホテルに戻ることに。

すっかり慣れたメトロを乗り継ぎ、もよりの停車場で下車。

すると、大通り沿いのコスメショップにいそいそと入っていく相方。

そうそう。トルコの物価だけど・・

食事・食品関係はおおむね日本の2~3割安。

逆に日用品や文具など、〈道具系〉は5割ほど高く感じた。

意外だったのが、化粧品。洗顔クリーム、口紅、消臭液(ロールオンタイプ)など

のきなみ3~4割もリーズナブルな価格に思えた。

なので、すっかり味を占めた相方は

コスメショップと見ると、目を輝かせるようになったのだった。

結局、ここでも数品をまとめ買い。ほくほく顔で、ホテルへと戻った。

 

ひとまずこれで、「バラマキ?みやげ確保」は完了。

あとは、自分が本当に気に入った物だけ買えばいいから、気が楽だ。

部屋に買い物袋sを置き、すぐまた外へ。

目指すは、昨夜発見して心のなかで予約しておいた居酒屋街。

きっと楽しい夕食になるはず・・と、思いきや。

実際に、立ち並ぶ店の前を通ってみると

予想以上の強引な客引き合戦に、まずは〈1ゲッソリ〉。

結局、海鮮料理目当てに路上にテラス席を出していた店のひとつ

NEYZEN RESTAURANTに入ったものの、

前菜の注文は必須(要するに「お通し」だね)とか

アルコールを提供する店特有の決まりごとに〈2ゲッソリ〉。

そして、席に着いた我々をすばやく見つけ、頭の上で歌い始める音楽隊。

明らかに「おひねり」を期待している雰囲気に〈3ゲッソリ〉。

料理自体はイカもエビも新鮮で、充分美味しかったのだが

いかんせん、賑やか過ぎて落ち着いて味わえないのが、残念すぎた。

地元の人じゃなく、観光客向けの店だったのか?

そのあたりも判然としないまま

声を張り上げる音楽隊から逃げるように店を出た、Ara-kanふたりだった。

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あちこちで歌声が響く居酒屋ストリート

ではでは、またね。