2019年12月4日〈水〉 イスタンブール市内⇒空港⇒〈成田空港)
すきっ腹とへたり気味の足をなだめながら歩くこと
だいたい20分(途中目に止まった店に立ち寄る余力は残っていた)。
目指すケバブ屋があるというエジプシャン・バザール脇の細い道に入ると
小さな間口の店と屋台が、左右にびっしり並んでいた。
ほとんどすべてが、なんらかの布製品を扱う衣類関係の店ばかり。
そして、狭い道を埋め尽くす地元の人・人・人。
昨日、エジプシャン・バザールをひやかしたときには全く気付かなかったが
その脇と裏手を囲むようにして、巨大な問屋街(布&衣類)が広がっていたのだ。
マップでアタリを付けておいたケバブ屋も
そんな問屋街の中心をなすアーケードの入口に、店を開いていた。
おそらくテイクアウトがメインなのだろう。
調理場を入れてもせいぜい5~6坪ほどの狭い店舗の片隅に
申し訳程度のカウンターと丸椅子が並んでいるだけ。
道路にはみ出したテラス席?を入れても
10人までは座れない、素朴で小さな店だった。
ふたりとも、ケバブをバケットで挟んだベーシックなサンドイッチ?を注文。
味付けは塩+ケチャップとシンプルだが、さすがに肉は新鮮だ。
あっという間にたいらげてしまった。
で、せっかく見つけた問屋街。
そのまま衣類の店が延々と連なるアーケードを見て回った。
シャツ、トレーナー、ジャケット、ジーンズ、デイバッグ、スカーフなどなど
どの店も格安を謳っていたものの
残念ながら、お値段自体は日本よりいくぶん高め。
孫たちに似合いそうなTシャツも見つけたが、結局見送ってしまった。
相方は「レースのタオルが安い」と、購入することに。
”まとめて買うからディスカウントできないか”と店主に頼んだが
きっぱりと首を横に振られてしまう。
あくまで地元の人が利用する店だから、底値で提供しているようだった。
結局、当初の予定通りの枚数を買い求め、問屋街を後にした。
時刻は、15時半をちょっと過ぎたあたり。
ホテルに迎えの車がくる予定時刻は21時だったから
夕食時間を考慮に入れても、まだ5時間近く自由に動ける計算だった。
それなら最後に、まだ行ったことのない場所を見に行こう!
というわけで、「歩き方」で調べて気になっていた
アジア側の交通の拠点となっている、「カドゥキョイ」を目指すことに。
すっかりお馴染みになったエミノミュふ頭まで歩き
そこからフェリーに乗ってボスポラス海峡をアジア側へと渡ること、およそ30分。
イスタンブールより長い歴史を持つという街・カドゥキョイのふ頭に到着した。
まずは町のシンボルとも言える〈ミニ山手線〉トラムで、ぐるりと一周。
途中、目に入った市場ッぽい賑わいが気になったので
ふ頭前のバスターミナルから、鮮魚などを扱う活気ある市場へ。
さらに奥へ奥へと足を伸ばしていくと・・
なんとも居心地の良さそうな、レストラン&商店街を発見!
先日入った音楽隊付き居酒屋街のような〈観光地モード〉ではなく
明らかに地元在住の人向けの、くつろいだ雰囲気。
――ああ、ここで夕飯を食べたかった!
と、後悔するも、後の祭り。
今夜の送迎を考えると、ここでゆっくりディナーを楽しむのは
ちょっとリスクが高すぎる。
結局、《次回はカドキョイのホテルに泊まろう》と決意するしかなかった。
それでも、時間が許す限り、この地元に密着した街を歩き
雰囲気のいいアンティークショップ、チョコレート店、ナッツ店など次々と発見。
それぞれの店で、納得のいく買い物を楽しむことができた。
アンティークショップでは、格安のコースターとアロマキャンドル。
チョコレート店は、MELODiという小ぎれいな"街のお菓子屋さん"。
様々なナッツが中に入った粒々チョコの缶入り(手のひら大)が秀逸だった。
〈ナッツがメチャ旨! 2箱購入したが、もっと買っとけば・・と後悔しきり〉
極めつけは、Brezilya KURUKAHVEというナッツ専門店。
おそらく年下だとは思うけれど、見事に禿げ上がった丸々とした店主が
自信たっぷりの笑顔で試食させてくれたナッツが
「ネヴシェヒルの店」と甲乙つけがたいほどの美味しさ!
荷物になりそう・・と思いつつ、合わせて7~800グラムほど買い込んでしまう。
(あの味を思い出すと、またもや涎が・・パブロフドッグ再び)
そして、心に誓ったのだった。
”今後、海外でナッツを買う時は、地元の人々で賑わう専門店を選ぼう!”
(サヨナラを言おうとすると、店主は一冊のノートを取り出して得意げに見せた。
そこには、「私は日本語を勉強しています」という文字が。
ホント、トルコの人は日本が大好きなのだ)
最期の最後に、これ以上なく〈居心地のいい街〉を発見。
今回の旅で、最も充実した買い物ができた。
ホクホク気分で、帰りのフェリーに乗り、再びエミノミュふ頭へ。
ここで19時過ぎ。
まだちょっと、余裕がある!
旅を惜しむ気持ちから、反対方向のトラムに飛び乗り
ボスポラス海峡を横断するガラタ橋を、アジア側へと渡った。
(結局ガラタ橋を通った&訪れたのは、この一瞬だけ)
辺りを眺め、余韻に浸る間もなく、ヨーロッパ側へと戻るトラムが入線。
すかさず乗り込み、再度ガラタ橋を渡り、スルタンアフメット駅で下車した。
前もって位置を調べておいたIstanbul Kebab Cafe & Restaurantに入り、夕食をとる。
早めの時間だったせいかガラガラの客席と
妙になれなれしい店員の態度にんんん?と思ったものの
ネットでトップクラスの人気店だけあり、味は確か。
値段も手ごろだった。
おまけにスープ(前菜)とパイの蜂蜜漬け(デザート)は、無料サービス。
なるほど、若い旅人たちの評判がいいわけだ。
ああ、帰りたくない・・
ここでお茶を楽しみつつのんびり過ごし、店を出たのは20時半過ぎ。
最後にもいちど大通りのコスメショップで、買い物納め。
ホテルに戻ったのは、集合時間21時の5分前というギリギリぶり。
すでに送迎の車&若者がロビーで待っていたので
すぐさま預けておいた荷物を受け取り、空港へと直行。
残るは、毎度の手続きを済ませるだけ。
イスタンブール0155発ターキッシュエアTK54便に乗り込み
翌日1940成田へと、何事もなく到着したのだった。
尻尾の先までギュッとアンコの詰まったタイヤキのように
ムダなく充実していた、カッパドキア&イスタンブール旅2019。
これに味を占め、「3年以内に再訪してカドキョイに滞在しよう」と決意したものの
新型コロナによって、すべての予定をリセットせざるを得なくなるとは・・。
再び、自由に世界を歩きまわれるその日まで
せめて旅の記憶を反芻することで、心を慰めるしかないのだ。
てなわけで、今後も懲りずに〔思い出し旅行〕を書き連ねていきたい。
次回は、ちょっと古いけど
2017年1月のローマ&ナポリの旅(7日間)にしようかな。
ではでは、またね。